業務スキルとノウハウ

生活相談員に必要な「アサーティブ・コミュニケーション」とは?

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生活相談員は、利用者やご家族、職員、他機関の担当者など、さまざまな人と関わりながら仕事を進めていく職種です。その中で、「どう伝えたらいいのか迷う」「言いたいことがあるのにうまく言えない」と感じたことはありませんか?

そんなときに役立つのが「アサーティブ・コミュニケーション」です。アサーティブ・コミュニケーションとは、自分の気持ちや意見をきちんと伝えながらも、相手への配慮も忘れないコミュニケーションのあり方のことです。

この記事では、生活相談員の実務に役立つアサーティブ・コミュニケーションについて、基本的な考え方から実践ポイントまでわかりやすくご紹介します。

 

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

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・kindle出版で『 対人援助一年目の教科書: 現役のプロが書いた実践で役立つスキルと心構え』発売しています。

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「生活相談員ラボ」では、「生活相談員×学び」をコンセプトに、介護・福祉に関する情報発信をしています。

 

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アサーティブ・コミュニケーションとは?

「アサーティブ(assertive)」という言葉は、自己主張という意味を持ちますが、単なる「強く主張する」ことではありません。

アサーティブ・コミュニケーションとは、
「自分の気持ちや意見を正直に、率直に伝えつつ、相手の立場や感情も尊重する伝え方」です。

人との関わり方には、大きく分けて3つのスタイルがあります。

  1. アグレッシブ(攻撃的):相手の気持ちを無視して、自分の意見を押し通す
  2. パッシブ(非主張的):自分の気持ちを抑えて、相手に合わせすぎてしまう
  3. アサーティブ(自己表現と相手配慮の両立)

この3つの中で、生活相談員にもっとも求められるのが「アサーティブ」なコミュニケーションスタイルです。

なぜ生活相談員にアサーティブ・コミュニケーションが必要なのか

生活相談員は「調整役」であり、「橋渡し役」です。利用者や家族の希望を聞き、職員と共有し、ケアマネや病院など外部との連携も担います。

その中で、こんな場面に心当たりはないでしょうか?

  • ご家族に厳しいことを伝えなければならないが、言いづらい
  • 職員間での連携がうまくいかず、言いたいことを飲み込んでしまう
  • 苦情対応で、感情的になってしまった経験がある

これらの場面でアサーティブ・コミュニケーションを実践できれば、相手にしっかり伝えつつ、信頼関係を壊さずに済みます。

たとえば、「ショートステイ中に転倒があった」といった報告も、感情的にならず、丁寧かつ率直に説明することで、ご家族との関係悪化を防げます。

アサーティブな伝え方のポイント

1. “ I ”メッセージを使う

「あなたは間違っている」と相手を責めるのではなく、
「わたしはこう感じた」と自分の気持ちを主語にして伝えてみましょう。

例:
×「そんな対応では困りますよ」
〇「わたしはその対応を見て、少し不安に感じました」

2. 感情を冷静に表現する

怒りや不満も、感情的ではなく冷静に言葉にすることが大切です。

例:
×「どうしてちゃんとやらないんですか?」
〇「忙しいのは分かりますが、もう少し丁寧に対応していただけると助かります」

3. 相手の立場も配慮する言葉を添える

相手を思いやる一言を加えるだけで、受け取り方が大きく変わります。

例:
「お忙しい中恐縮ですが…」
「○○さんの気持ちも理解した上でお話しさせてください」

ありがちなNGコミュニケーションと改善例

伝えたいことは同じでも、言葉の選び方ひとつで相手の受け取り方は大きく変わります。

NGな言い方 アサーティブな言い方
「どうしてそんなこともできないの?」 「○○してもらえると、利用者さんも安心できると思います」
「自分ばっかり大変」 「業務が集中していて大変なので、協力してもらえると助かります」
「今さら言われても困ります」 「今後のために、もう少し早く教えていただけると助かります」

ちょっとした言い回しの違いですが、相手の印象は大きく変わります。特に生活相談員は、「誰に対しても丁寧に、かつ遠慮しすぎず」伝える力が求められるので、アサーティブな伝え方を日々意識していきましょう。

アサーティブ・コミュニケーションを身につけるために

アサーティブ・コミュニケーションは、練習によって誰にでも身につけられるスキルと言われています。生活相談員とし日々忙しい中でも、ちょっとした工夫で少しずつ身につけていきましょう。

書籍や動画で学ぶ

まずはアサーティブの基本的な考え方を学ぶことから始めましょう。初心者向けの入門書や、実例を交えた動画などは、理解を深めるのにとても役立ちます。

ロールプレイで練習する

研修やOJTの場面で、実際の業務を想定したロールプレイを行うと、アサーティブな伝え方を実践的に学ぶことができます。特に「伝えづらいことをどう伝えるか」に焦点を当てると、現場での応用力が格段に上がります。

「1日1回アサーティブ」を意識する

完璧を目指すのではなく、「今日は1回だけでもアサーティブに話してみよう」と意識するだけでも効果的です。たとえば、お願いごとをするときにIメッセージを使ってみる、相手の立場に配慮した言い回しに挑戦するなど、小さな実践の積み重ねが習慣化につながります。

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まとめ

生活相談員は「言葉を届ける仕事」といっても過言ではありません。ですから、ただ伝えるのではなく、「どう伝えるか」が重要です。

アサーティブ・コミュニケーションは、相手との信頼関係を保ちながら、自分の気持ちや考えを率直に伝えるスキルです。職場の人間関係に悩んでいる方、ご家族対応に苦労している方にこそ、このコミュニケーションをぜひ身につけてみてください。