介護・福祉情報

働きやすい介護現場をつくる「心理的安全性」の重要性とは?

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介護の仕事は、チームでの連携が欠かせません。

けれど、現実には「意見が言いづらい」「上司の顔色をうかがってばかり」「報告したら逆に怒られた」——そんな心理的な圧力の中で働いている方も少なくないのではないでしょうか。

わたし自身、いまの職場環境に「心理的安全性の低さ」を感じています。

上からの圧力が強く、パワハラ気質な空気も否めません。こうした組織では、自分ひとりががんばってもなかなか風土は変わらないでしょう。

それでも、「どう立ち居振る舞うか」を考えることで、自分を守りながらも働きやすさを少しずつ広げていくことはできます。

この記事では、「心理的安全性とは何か」「それがなぜ介護現場に必要か」そして、「職場の風土が悪いとき、個人でできること」について、現場目線でお伝えします。

 

この記事を書いた人


takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

Xにほぼ毎日投稿しています。

職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。

・kindle出版で『 対人援助一年目の教科書: 現役のプロが書いた実践で役立つスキルと心構え』発売しています。

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「生活相談員ラボ」では、「生活相談員×学び」をコンセプトに、介護・福祉に関する情報発信をしています。

 

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心理的安全性とは?

心理的安全性(Psychological Safety)とは、職場で自分の意見や気持ちを安心して表現できる状態のことです。この概念は、ハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授によって提唱されました。

「否定されるかも」「叱られるかも」といった不安がない状態で、対人リスクを取れることが心理的安全性のカギです。

介護現場にこそ「心理的安全性」が必要な理由

介護の現場は、以下のような連携や判断が求められる場面が日常的にあります。

  • 利用者の体調や様子の変化を早期に共有する
  • チームでケア方針を検討する
  • 現場で起こったミスやトラブルを素早く報告する

こうした場面で、心理的安全性がなければ、大事な情報が共有されなかったり、職員同士のすれ違いが増えたりして、事故や離職の原因になってしまいます。

でも現実は…心理的安全性が低い職場もある

理想論だけでは語れないのが、わたしたちの現場です。

わたし自身、いまの職場にこんな空気を感じています。

  • 報告すると細かいミスを突かれて怒られる
  • 会議では発言しない方が無難という雰囲気
  • トップダウンが強く、現場の声は届かない
  • 明らかなパワハラが横行していても誰も声を上げない

つまり、心理的安全性どころか、「発言=リスク」な環境になってしまっているのです。

こうした職場の空気は、個人の力だけでは簡単に変えられません。

では、わたしたちはどうすればよいのでしょうか?

心理的安全性がない職場で、わたしたちができること

1. 信頼できる人との「ミニ心理的安全地帯」をつくる

職場全体を変えるのは難しくても、ひとりでも「話しやすい仲間」がいれば、そこに小さな安全地帯が生まれます。

同僚や後輩、ときには他部署の人でも構いません。情報共有や悩みの共有ができる関係を築いておくことは、自分を守るためにも大切です。

2. アサーティブな伝え方を身につける

心理的安全性が低い環境では、主張が強すぎても弱すぎても誤解されやすくなります。

「自分も相手も尊重する言い方=アサーティブ・コミュニケーション」は、そうした場でこそ有効です。

例:

×「なんでこんなことやらなきゃいけないんですか?」

○「この対応について確認したいのですが、どんな意図があるのでしょうか?」

冷静さを失わずに意見を伝えることで、自分の立場を守りつつ、周囲に考えさせるきっかけにもなります。

3. 否定せずに「受け止める」スキルを持つ

パワハラ気質の上司や先輩と関わるとき、相手の言動すべてを受け入れる必要はありません。

ただ、否定から入らず、「一旦受け止める」スタンスで返すことで、衝突を避けつつ距離感を保つことができます。

4. 自分の感情を言語化する

「イライラする」「無力感がある」「もやもやする」——そんなとき、まずは自分の感情を言語化する習慣をつけましょう。

感情を整理できると、自分がどう行動すればいいかが見えてきます。

心理的安全性のある組織とぬるま湯組織の違い

「ぬるま湯組織」という言葉があります。心理的安全性の高い組織と似ているようで、実は大きな違いがあります。

心理的安全性の高い組織もぬるま湯組織も、どちらも間違いや失敗を恐れず、自由に発言することができます。しかし、ぬるま湯組織では、目標達成や成長よりも波風を立てないことが優先されます。現状維持が当たり前になり、表面的には平和でも、挑戦や成長が起きにくい環境です。「争いはないけれど、何も変わらないチーム」といえるでしょう。

 

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まとめ

介護現場の風土は、トップや組織文化に大きく左右されます。

だからこそ、個人ではどうしようもない部分もあります。

それでもわたしたちは、

「話せる相手を持つ」こと「伝え方を工夫する」こと「自分の感情を見つめる」こと で、少しずつ働きやすさを広げていくことができます。

もし、あなたの職場が心理的安全性のない環境であっても、どうかひとりで抱え込まず、小さな「安全地帯」を作ることから始めてみてください。