介護の現場で働いていると、利用者さんやご家族との「伝え方」で悩むことはありませんか?
・正しいことを伝えたのに、なぜか怒られてしまう
・こちらに非がないはずなのに、相手が納得してくれない
そんなとき、わたし自身が新人時代に学んだ「説得より納得」という考え方がとても役に立ちました。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
・Xにほぼ毎日投稿しています。
・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。
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「正しい説明」をしても納得されないときがある
わたしが生活相談員として働き始めたばかりの頃、あるご家族から電話がかかってきました。
「うちのおばあちゃんが帰宅後にお腹が痛いって言ってる!お粥をお願いしてるのに、ちゃんと出してないんじゃないですか?」
すぐに厨房と介護スタッフに確認したところ、確かにお昼は“お粥”が出されていました。
「誤解だ」と思ったわたしは、ご家族に電話をかけ直し、丁寧に説明しました。しかし返ってきたのは怒りの言葉。
「ちゃんとやってるって言うけど、本人が痛いって言ってるのに!」
――正しい説明をしたはずなのに、なぜこんなにも感情的になってしまうのか?当時のわたしは、とても戸惑いました。
「説得」よりも「納得」を大切にするという考え方
そのとき上司が教えてくれたのが、「説得より納得を」という言葉でした。
人は感情の生き物。正論よりも、共感や気持ちに寄り添う言葉の方が心に届く。この言葉に、わたしはハッとさせられました。
たしかにわたしは、ご家族の「心配な気持ち」には一切触れず、ただ「ちゃんとやってます」と事実だけを伝えていたのです。相手が求めていたのは、正しい情報ではなく「不安に共感してもらえること」だったのだと、後になって気づきました。
介護職として使える「納得」の対話テクニック
現場で活かせるポイントは次のような点です。
・事実を伝える前に、まず共感を伝える
「それは心配でしたね」「○○さんが痛がっていたら、不安になりますよね」など、相手の気持ちに寄り添う言葉を添えるだけで印象は変わります。
・理屈だけで押し切らない
正しいことでも、相手の感情が整理されていないと受け入れられません。先に「感情の受け止め」を。
・相手の立場を想像する
その人が大切にしているもの、大事にしている人を想像して話すことで、言葉の選び方も自然と変わってきます。
今回の話は、拙著『対人援助一年目の教科書』で詳しく紹介しています。
・説得より納得
・共感がコミュニケーションの出発点
・論理よりも、気持ちに届く言葉を
介護職1年目の方や、対人援助職に不安を感じている方にこそ、読んでいただきたい一冊です。
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まとめ
現場で働いていると、「言ったことが伝わらない」「正論なのに反発される」なんてことは日常茶飯事です。そんなときは、「説得しよう」とするのではなく、「納得してもらうにはどう話せばいいか?」を意識するだけで、関係性がぐっと変わるはずです。
介護は、人と人との仕事。だからこそ、心に届く言葉を選べる援助者でありたいですね。
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