介護の現場には、資格や勤続年数だけでは測れない「本当に仕事ができる人」がいます。利用者さんのちょっとした変化にいち早く気づいたり、信頼関係を自然に築いていったり。
生活相談員としてたくさんの介護職員と関わってきたわたしの立場から見て、「この人、本当に仕事ができるなぁ」と感じる介護職員には、共通する特徴があります。そこで今回は、介護福祉士でもある妻の視点も取り入れながら、「仕事ができる介護職員の特徴」を3つに絞ってご紹介します。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
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観察力が鋭い人
「気付き力がハンパない」。これがまさに、できる介護職員に共通するポイントです。利用者さんのことを「よく見ている人」は信頼できます。
たとえば、
- 暑い日に長袖を着ている利用者さんを見て、衣類の調整を提案する
- 食事中のムセが増えていることにいち早く気づき、食事形態の見直しを提案する
- トイレの回数が減っているのを察知し、排泄解除のタイミングを調整する
- 利用者さんが失禁していることにすぐ気づき、対応する
- 利用者さんの水分量が少ないことに気づき、早めに声かけをする
ただ流れ作業のように介助するのではなく、利用者さんのちょっとした変化を見逃さない。こうした観察力は、事故や体調悪化を未然に防ぐ力につながります。その「見る力」「気付く力」が、利用者さんの安心・安全を守っているのです。
“背景”を理解している人
もうひとつ大切なのが、「その人がどういう人生を歩んできたか」に目を向ける姿勢です。
- 家庭環境やこれまでの人生背景、生活習慣を知っているからこそ、その人に合った関わり方ができる。
- 直接言葉にされない思いを汲み取り、言葉にして代弁できる
- 家族との関係や、これまでの価値観を踏まえたうえで、その人に対し無理のない提案ができる
たとえば、「お風呂を嫌がる」という行動ひとつをとっても、背景によって理由は全く異なります。「昔の入浴習慣」「家族との思い出」「過去の嫌な経験」など。その人の背景を知っていると、「なるほど、そういうことだったのか」と理由が見えてくることがあります。
こうした理解がある人は、単なる作業としての介護ではなく、「その人の人生を支えるケア」ができます。
苦手な利用者さんが少ない人
人と人との関係なので、どうしても相性の良し悪しはあります。それでも、「どの利用者さんからも自然に受け入れられる人」はやっぱり現場で一目置かれる存在です。
- 利用者に嫌がられることが少なく、自然に受け入れられている
- 特定の苦手意識が少なく、誰とでも良好な関係を築ける
- 接し方の“守備範囲”が広く、柔軟に相手に合わせられる
- 丁寧すぎず、かといって雑すぎない、適切な距離感を保って関われる
こういった人は、対応がとてもスムーズです。関係性を築くのが難しそうと思える利用者さんにも、自然体で関われる。こうした職員は、利用者さんからの信頼はもちろん、職員同士からも頼りにされます。その存在がチームの空気をよくし、職場全体に安心感を与えててくれます。
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まとめ
生活相談員として、いろんな介護職員の姿を見てきました。その中で思うことは、資格や経験年数だけでは測れない「本当の仕事力」を持っている人がたくさんいるということです。
- 小さな変化にも気づける「観察力」
- その人の背景を理解する「想像力」
- どんな相手にも対応できる「柔軟性」
この3つを兼ね備えた介護職員は、間違いなく大きな戦力です。周りから信頼される存在ですし、利用者さんの笑顔を引き出せる力も持っています。
もちろん、最初から完璧にできる必要はありません。ですが、こうした力を意識して積み重ねていくことが、「信頼される介護職員」への一歩になります。
これから介護の仕事を極めていきたい方は、ぜひ日々の現場の中で、「自分もそんな介護職員を目指してみよう」と感じてもらえたら嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。