わたしは生活相談員として15年近く働いてきました。その中で何度も「もう無理かもしれない」と思うことがありました。クレーム対応に追われ、板挟みの状況に苦しみ、膨大な業務に疲れ果てる——そんな日々を過ごす中で、「転職しかないのでは?」と考えることもあります。
ですが、安易に転職を決断する前に一歩立ち止まり、自分の状況を整理して視野を広げることも大事である、とも考えています。そこで本記事では、わたし自身の経験をもとに、生活相談員の仕事がつらいくて転職したいと感じたときに考えるべき3つのことを紹介します。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
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・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。
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生活相談員の仕事がつらいと感じたときに考えるべきことは、以下の3つです。
- つらさの原因を明確にする
- 今の職場で改善できることを試す
- 転職のメリット・デメリットを冷静に考える
ひとつずつ解説していきます。
つらさの原因を明確にする
まずは、自分が何に対して「つらい」と感じているのかを整理してみましょう。わたしがこれまで生活相談員の仕事を経験してきた中で、つらいと感じた点は以下の5つです。
クレーム対応
生活相談員は、利用者やその家族からの不満や無理な要望に対応することが多く、精神的な負担が大きいです。わたし自身、理不尽なクレームを受けるたびに、「自分が悪いのか?」と思い悩み、眠れない夜を過ごしたこともあります。
板挟みの状況
生活相談員は、利用者、家族、施設職員の間で調整役を担うため、意見の対立や不満を受け止める場面が多いです。現場職員と家族の意見が食い違ったとき、その間に入って調整するのはめちゃめちゃ疲弊します。
業務量の多さ
書類作成や契約業務に加え、電話応対やクレーム対応など、生活相談員の仕事量は膨大です。現場の職員が定時で帰っていくのを横目に、毎日毎日サービス残業。正直やってられません。
給与と業務内容のバランス
専門性が求められる仕事であるにもかかわらず、給与が仕事内容に見合わないと感じることが多いです。責任は増えるのに、給与はなかなか上がらない現実に、やり切れなさを感じます。
人間関係のストレス
パワハラ気質な職場環境に加え、職場内での連携や意見対立によるストレスも大きいです。わたし自身、上司との関係がうまくいっておらず、決して働きやすい環境ではありません。
今の職場で改善できることを試す
「もうダメだ、転職しよう」と思う前に、今の環境でできることがあるか考えてみることも大切です。わたし自身、以下のような工夫を試してみました。
相談できる相手を見つける
同僚や信頼できる人に悩みを打ち明けることで、解決策が見えてくることがあります。わたしも、同僚に話すことで問題の整理ができ、気持ちを落ち着けることができました。
業務の優先順位を整理する
すべてを完璧にこなそうとすると、どんどん自分を追い詰めてしまいます。「この業務は本当に今やるべきか?」と見直し、優先順位をつけることで負担を減らすことができます。
上司に相談する
退職したいくらいメンタルが病んでいることを、上司に相談しました。結果的に問題解決には至りませんでしたが、悩みをひとりで抱えて悶々としてるよりはよかったと思います。
転職のメリット・デメリットを冷静に考える
それでもつらさが続く場合、転職を視野に入れるのも選択肢のひとつです。ただし、転職にはリスクもあるため、慎重に考える必要があります。
転職で本当に解決するのか?
どの職場にも大なり小なり問題はあります。今の悩みが転職によって解決するのか、じっくり考えることが大事です。わたしの場合、「転職すれば楽になる」と思う一方で、現実を見たときに「今より給料が下がってしまう」という不安が見えてきました。「転職する」と決めたら、転職することだけが正解に見えてしまいますが、転職によって発生するマイナス面にも目を向けるべきだと思います。
生活相談員以外の選択肢も視野に入れる
生活相談員の仕事が向いていないと感じるなら、介護業界内で別の職種に挑戦したり、まったく異なる分野に目を向けるのもひとつの方法だと思います。わたし自身も新しい道を模索しており、たとえば以下のような選択肢を考えています。
- 講師の仕事に挑戦する
- ケアマネとして経験を積む
- 地域包括センターで働いてスキルアップ
自分に合った道を見つけるために、新しいチャレンジを検討してみてもいいかもしれません。
副業やスキルアップで将来の選択肢を増やす
転職を決断する前に、副業に挑戦したり、資格取得を目指してスキルアップするのもひとつの方法です。わたし自身、ブログ運営を通じて新たなキャリアの可能性を模索しており、ライティングの仕事を請け負ってみた時期もありました。職場に依存せずに生きていけることが理想ですが、それはなかなか難しい。とはいえ、副業による収入があれば、本業の働き方の幅も広がるので、まずは副業で収益を上げることを目標にしながら、自分に合った働き方を模索していきたいと考えています。
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転職は最後の手段!まずはできることから始めよう
生活相談員の仕事は本当に大変です。わたしも何度も「辞めたい」と思いました。しかし、すぐに転職するのではなく、まずは自分のつらさの原因を整理し、職場で改善できることを試してみるのが大切だと思います。それでも状況が変わらない場合、転職のメリット・デメリットを冷静に考え、自分にとって最善の道を選びましょう。
わたし自身、この先どうするかを模索しながら働いています。もし同じように悩んでいる方がいたら、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。