こんにちは、takumaです。
ここでは、介護サービスにおいて自己決定を尊重することの難しさについて解説していきます。
「自己決定の尊重ってなんだろう?」という方や、どのように自己決定を尊重したらよいかわからずお悩みの方は、ぜひご覧ください。
takuma(@takuma3104 )
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)。
デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。
このサイト「生活相談員ラボ」では、「現役の強みを生かした、現場感覚のある情報発信」をコンセプトに、生活相談員をはじめたばかりの人やこれから生活相談員になる人の役に立つ記事を書いています。
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自己決定の尊重とは?
介護には、自己決定の尊重という考え方があります。
この自己決定の尊重を一言で説明すると、「自分のことは自分で決める」ということです。
わたしたち支援者は、利用者の自己決定を尊重しながら介護サービスを提供する必要があります。
そんな自己決定の尊重という考え方ですが、実際には口で言うほど簡単にできるものではありません。
個人的には、この自己決定の尊重ほど難しいものはないと思っています。
介護サービスにおける自己決定の尊重
ショートステイを例にして考えてみましょう。
ショートステイの現場では、自分自身で利用することを決めて、納得して泊まりに来るという人は限りなく少ないです。
多くの利用者は、本人の意思ではなく家族の意向によってショートステイを利用しています。
本来なら重視されるはずの本人の意思よりも、家族の意向が勝ってしまうのはいったいなぜでしょうか?
それは、ショートステイという介護サービスが、「家族の負担を軽減するサービス」だからです。
家族の介護負担軽減 > 本人の意向
家族の介護負担を軽減するという目的が、ショートステイという介護サービスには含まれています。
ですから、本人が利用したいかどうかより、家族の意向が優先されるというわけです。
ですが本来の介護サービスは、自分のことは自分で決める「自己決定」が尊重されるはずですよね。
ここをどう説明すればよいでしょうか。
実は、ショートステイの利用目的は以下のように解釈されます。
本人は嫌がってるが、ショートステイを利用することで家族の介護負担が減る。
↓
家族の介護負担が減って楽になれば、これまで通り本人は家で生活することができる。
↓
家で生活すること、これは本人の意向である。
↓
家で生活したいという自己決定のために、ショートステイの利用は必要だ
こんな理屈で組み立てていき、ショートステイの利用を本人の意思、つまり自己決定だとしているわけです。
なんとなく屁理屈に感じてしまうのは、わたしだけでしょうか。
まとめ
自己決定を尊重するのは大事です。
とはいえ、物事は白か黒かでは決められないグレーな部分もあると思います。
すべてのケースにおいて利用者の自己決定が完璧尊重されているかというと、そんなはずはなく、グレーな部分は多いでしょう。
実際の現場では、本人が希望せずとも第三者が強制的に判断して決めなきゃならないことだってあります。
自己決定を尊重するのは、楽なことではありません。
しかし、繰り返しになりますが、自己決定するのはやっぱり大事だとわたしは思います。
理想と現実の間で、どこまで理想に近づけられるか。
とても難しい課題ですが、それと同時に介護の仕事をするうえでの醍醐味と言えるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。