藤原るかさんの著書『介護ヘルパーはデリヘルじゃない 在宅の実態とハラスメント』を読みました。
在宅ヘルパーのヘビーな現実が、著者の体験を元に綴られています。
在宅という密室で起きているセクハラやパワハラのみならず、認知症者の問題や孤独死との遭遇といったことも言及されている。
実際の体験を元にした、現場目線の良書でした。
読んだ直後の率直な感想としては、
「こういうことこそ教科書に載せるべきっ!!!」
って気持ちです!
これから介護の仕事を始める人が最初に取るであろう資格に、介護職員初任者研修というものがあります。
この介護職員初任者研修のカリキュラムで教える内容って、“介護の基本”とか“コミュニケーション”とか、いわゆるザ・教科書って内容ばっかりです。
この本に書いてあるような、実際に現場で起きている生々しい話って、教科書に載ってないし、初任者研修でも教えてくれないんですよ!
介護業界に来る人は、そんなことなんてわからずに入ってきて、現実を思い知ることになる。
きちんと事前に教えてあげた方がいいですよ。
「利用者の尊厳は大事だ!」
ということを教えるのも確かに大切です。
しかし、そういった理想論を教える一方で
この本に書いてあるように、ヘルパーはパワハラやセクハラを受ける可能性がある仕事だってことも、
利用者からキスを迫られ、必死に抵抗
することや、
トイレ介助で性器を顔に押しつけられる
ということが起こり得る仕事だということも、一緒に教えるべきでしょ!
介護従事者の74%がハラスメント被害に
あっていて、それが原因でうつ病を引き起こすことだってあるわけです。
こういった現実は包み隠さずに教えてあげるべきです。
現実を知って、介護の道に進むのが嫌だなぁと思った人は、別の道を目指せばいいわけですから。
早めに見切りがつけられてよかったねって話です。
そういった現実を何も知らずに、いざ働き始めて「こんなはずじゃなかった」って離職するなんて、つまらないじゃないですか。
時間の無駄です。
セクハラ、パワハラがまかり通っているということをオープンにしてしまうと、人材が集まらないから、国はそういったことをオープンにしないのでしょうか?
逆の発想が必要だと思うのですよね。
ダークなところもきちんと教えること。
それでもこの仕事につきたいって人は、介護業界に進めばいいと思います。
理想論だけで成り立つ業界じゃないんだから、耳障りのいい綺麗事ばかり教える今のカリキュラムは、片手落ちなんじゃないかなぁ、と思います。
こういうリアルな本を教科書にして、介護人材の養成というものを考えてほしい、と思える1冊でした。
takuma
生活相談員(社会福祉士・介護支援専門員)。
デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。
このサイト「生活相談員ラボ」では、「現役の強みを生かした、現場感覚のある情報発信」をコンセプトに、生活相談員をはじめたばかりの人やこれから生活相談員になる人の役に立つ記事を書いています。
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