はい、ということで、多田ゆりえ 荒屋明神著『なぜ発達障害者はバカなのか』を、わたくしtakuma(@takuma3104 )が紹介していきたいと思います。
この本はkindleで読むことができます(わたしはkindle unlimitedで読みました)。
ここでは、この本をもとに、「発達障害者がいったいどのようなマインドでこの厳しい現代社会を生き抜いたらいいのか」について解説していきたいと思います。
ADHDの息子をもつ身として、わたし個人的にも非常に興味深いテーマです。
まず、なんといってもこのタイトルが目を引きますよね。
いい感じに煽ったタイトルですが、それこそがこの本の戦略でもあり目的なわけです。
あえて煽る言葉を使ってまで「もっと発達障害者が生きやすくなるために、社会に対して問題提起をする」こと、これこそが本書の目的です。
ですから、このショッキングなタイトルに目を引かれて読んだわたしは、まんまと著者の戦略にはまった、というわけですね。
早速ですが、この本の内容をひとことでまとめるとすると
「人のせいにしてないで、自分で行動しよう」
これです。
このひとことに尽きます。
発達障害とは?
内容を解説する前に、まずは「発達障害」についてご説明しておきたいと思います。
発達障害とは、ADHDやLD、自閉症、アスペルガー症候群など、「生まれつきの脳機能の障害」のことをいいます。
2019年の調査によると、推定で19万5000人の発達障害者がいるという調査結果が出ています。
日本人の約1000人に1人以上が発達障害者である、という計算になりますね。
そして発達障害者の数は増加傾向にあり、今後も増え続けるといわれています。
発達障害の認知が進み、今までなら埋もれていたであろう発達障害者が次々と判明しているため、増え続けているのです。
「バカなのか」発言の真意は?
そんな発達障害者でありますが、この著者は彼ら彼女らにこう投げかけます。
「バカなのか?」と
これを文字通りに受け取ってしまうと、「なんてことを言うのだ!」と反感を持つ人もいることでしょう。
ですが、それは著者の真意ではありません。
著者があえて煽る表現を使ってまで伝えたいこと、それは、発達障害者自らの言動が自分たちの首をしめ、社会で生きにくくなっているのだということです。
自分で自分の首をしめている状態、それを放置している現状、それこそが「バカなのではないか」と主張しています。
そして、その状況を変えることこそが著者の願いなのであります。
なぜ発達障害者は生きにくいのか?
さらに著者はこう投げかけます。
自分たち発達障害者は、社会が勝手に「正常」や「普通」という価値観を決めて、そのせいで差別されていると考えがちですが、それは違います。
そうではなくて、社会が「正常」や「普通」を決める前に、あなたたち発達障害者自身が勝手に「正常」や「普通」を決めつけているのではないでしょうか。
まさに逆転の発想です。
傷つけているのは社会ではなく、自分たち自身だということですね。
「人のせいにしてないで、自分たちで解決しろ!」といわれても、「そうはいっても生きにくいものは生きにくいんだよ」という声が聞こえてきそうです。
ところで、なぜ発達障害者は社会の中で生きにくいのでしょう?
それは、多くの発達障害者がつまずいてしまうある問題があるからだといいます。
それは、発達障害者として診断はされたはいいけど、じゃあこれから発達障害者として具体的に何をすればいいのか?という、非常にシンプルにして本質的な問題です。
たとえば、病院で「あなたはカゼです」と診断されれば、「薬飲んで寝てましょう」という行動を起こします。
ですが、発達障害者は「あなたは発達障害です」と診断されても、じゃあどういう行動を起こせばいいのか、いまいちピンときませんよね。
発達障害者というレッテルだけが張られ、なにをしたらいいのかがわからない。
これが、発達障害者が潜在的に抱えている問題なのではないでしょうか。
自分で切り開くしかない
結論、発達障害と認定されたとしても、何か恩恵を受けられるというものではないのです。
結局のところ、自分自身で道を切り開いていかなければいけません。
社会は厳しいのです。
受け身モードでいると完全に負け組、負のループに陥ってしまいます。
でも、これってなにも発達障害者に限ったことではありませんよね。
努力もせず、スキルも知識も磨かない人間がこの社会で生きていくことは難しいでしょう。
発達障害者だから努力をしなくてもスキルを磨かなくても許される、というわけでは決してないのです。
発達障害は確かにその人の一部です。
ですが、あくまでも一部です。
その人の全てを「発達障害」でくくって語れるほど、人間は単純ではありません。
白か黒かでわけられるほど、世界は単純じゃありません。
「発達障害だからということで、与えられることだけを考えてはいけない。ひとりの人間として自ら動け、行動しろ」と、手厳しくも本質的な主張が繰り広げられています。
働く時間や場所などに縛られない生き方のほうが、発達障害者には向いている場合が多いです。
幸いにも、現代は働き方に多様性が生まれてきました。
在宅ワーク、リモートワークなど、発達障害でも働きやすい就労方法が可能になっていきています。
仕事の内容も現代のITの進化により、webライティングやHP制作、ロゴやバナー制作など、発達障害者でも行える、いえむしろ発達障害の強みを生かして働くことができます。
自助会や当事者会など、言葉は悪いですが傷のなめ合いが目的のような集まりではなく、雇用創出・就労支援など根本的な問題解決をサポートする社会資源も増えつつあります。
しかし、どんなに社会資源があったとしても、最終的に行動するのは他でもない自分です。
有用なツールをうまく自分自身に取り込んで、自ら行動を起こしていきましょうと背中を押してくれているのが、この本なのであります。
まとめ
ということで、ここでは『なぜ発達障害者はバカなのか』を参考に、発達障害者がどのようなマインドでこの社会を生き抜いていったらいいのかについて、解説をしていきました。
「人のせいにしないで、自分で行動しろ」
普段何かと言い訳して人のせいにしがちなわたくしtakumaにも、グサッと刺さる言葉です。
発達障害者のみならず、人のせいにせず自分のせいにしてくマインドは、万人共通の学びになるなぁと感じています。
ぜひわたしの息子にも、この「自責マインド」で世の中を渡り歩いていってほしいと思います。
takuma
生活相談員(社会福祉士・介護支援専門員)。
デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。
このサイト「生活相談員ラボ」では、「現役の強みを生かした、現場感覚のある情報発信」をコンセプトに、生活相談員をはじめたばかりの人やこれから生活相談員になる人の役に立つ記事を書いています。
詳しい自己紹介はこちら。