生活相談員研究室

【生活相談員】クレーム対応において説得より納得が大切な理由

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こんにちは。takuma@takuma3104 です。デイサービスとショートステイの生活相談員をしています。

生活相談員の業務のひとつに「クレーム対応」があります。

曲がりなりにも生活相談員として10年間仕事をしてきて、小さいものから大きなものまで数え切れないほどのクレーム対応をしてきました。10年もクレーム対応の仕事をしていれば、嫌でもそれなりにスキルは身につくものです。

そんなわたしなのですが、偉そうにクレーム対応のポイントみたいなものをひとつ挙げさせていただくとすれば、それは「説得より納得が大切」ということです。

説得とはつまり、理詰めで相手を言いくるめる、説き伏せるというというイメージです。しかし、理屈で説得しようとしても人は「納得」しないのですよね。「納得」は、相手の気持ちを理解し認めたうえで相手の感情に訴えかけて、はじめてしてもらえるものです。

と抽象的なことを言われてもわかりにくいと思いますので、実際にわたしが経験したことを例に挙げて説明しますね。

デイサービスを利用しているYさん。Yさんのキーパーソンは同居の娘で、怒るととても感情的になる娘さんでした。

その日Yさんはデイサービスの利用日で、夕方無事ご自宅へ送り届けたところでした。時間は午後17時半過ぎ。仕事も片付いたので、みんなでそろそろ帰ろうかと思っていたときのことです。一本の電話がかかってきました。

Yさんの娘からの電話でした。

娘さんからの話の内容はこうです。

「うちのおばあちゃん、さっきデイサービスから帰ってきたけど、下痢が止まらないの!

それで、よく見たら便の中に未消化物が混じってるのよ!

うちでは三食全部ペーストで出してるから、便に未消化物が混じるなんてありえない!

そっち(デイサービス)の食事、ちゃんとペーストになってないんじゃないの!確認してちょうだい!」

この電話を受けて、当時まだ経験の浅かったわたしは、「うちのデイサービスがきちんとペースト食を提供していたという“証拠”」を探して説明しようと思いました。うちはちゃんとやることをやっていることを説明して、理解してもらおうと思ったんです。

すぐに、栄養士に食事形態の確認をしに行きました。介護士にその日の食事の様子を確認しに行きました。

聞き取りの結果、やっぱりきちんとしたペースト食で提供できていました。うちに非はなかったのです。わたしはそのことをYさんの娘に説明しました。しかし、Yさんの娘の怒りは収まりませんでした。

うまくクレーム対応をすることができなかったわたしは、そのことを上司に報告しにいきました。そのときに上司から教えてもらった言葉がこの、「説得より納得を」でした。

上司はわたしにこう言いました。

論理立てて1から10まで丁寧に説明して、論理で相手を説得しようとしても逆効果になる。うちのペースト食に非がなかったことを聞いて、それで相手はどう思うんだ?そんなことを伝えるよりも、相手に納得してもらえるように話しなさい。

上司の言葉にわたしはハッとしました。わたしは、理詰めで相手を説得しようとしていたのです。

うちのデイサービスの無実をYさんの娘に伝えたところで、納得はしないでしょう。むしろ、振り上げた拳の下ろし先を奪うことになり、逆上すらさせてしまいます。怒りは収まるはずがありません。

Yさんの娘は、本音の部分では、デイサービスのペースト食がきちんと提供されているのかを確認したいわけではなかったのです。本当は、Yさんの下痢の処理で困っていることをわかってほしかったのです。

そのYさんの気持ちに対して、いくら証拠を集めて「うちはちゃんとやっています」という話をしたところで、相手は納得しなくて当然です。

それからわたしは、事実を1から10まできちんと説明することよりも、相手の感情に共感しながら話をするようにしました。

 

その後もYさんの娘からのクレームをもらうことはあったのですが、「説得よりも納得」を意識するようになってから、火に油を注ぐことはなく、その都度沈下させることができるようになりました。

 

「人は感情の生き物」といわれるように、理屈だけで人は動きません。

納得感がなければ、人は動かないのです。

いくら話の筋が通っていたとしても、嫌いな人からの話は聞きたくないものです。反対に、好きな人からの話だったらちょっとくらいチグハグでも許せてしまうものです。

だから、論理だけではなく感情に寄り添う姿勢が必要なのです。人は合理的な生き物ではありませんからね。

ということで、「説得よりも納得」が大切、という話でした。

最後まで読んでくださってありがとうございました。もしあなたがクレーム対応をするときには、ぜひこれを意識してみてくださいね。