事業所のミスじゃないのに過誤請求?負担割合証が遡って変わるケースとは
介護保険負担割合証は、「一度発行されたら1年間(8月〜翌年7月まで)はそのまま」と思っていませんか?
実は、年度の途中で「過去に遡って」負担割合が変更になるケースが存在します。
しかも、その場合に必要となるのが「過誤請求(過誤申立)」の手続きです。
「事業所には何のミスもないのに、なぜ手間のかかる過誤請求をしなければいけないのか?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、実際に現場で経験した「住民税の更正に伴う負担割合の遡及変更」と、「事業所に過失がない場合の過誤請求対応」について、自治体へ確認したリアルな経緯を含めて解説します。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
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負担割合証が「過去に遡って」変更される理由
通常、負担割合証は前年の所得情報等をもとに判定され、毎年8月に更新されます。
しかし、以下のような理由から、年度の途中で過去に遡って負担割合が見直されることがあります。
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利用者や家族が税金の修正申告(更正の請求)を行った
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自治体側で住民税の課税所得額が見直された
たとえば、当初は「2割負担」と判定されてサービスを利用していた場合でも、後から税金の再計算が行われて「1割負担」へ変更になると、過去の利用日に遡って1割判定に修正されます。
その結果、事業所側は過去に請求した介護報酬や、利用者から受領した自己負担額の差額を精算しなければならなくなります。
事業所に罪はないのに「過誤請求」が必要なのはなぜ?
ケアマネジャーから「負担割合が2割から1割に遡って変更になったため、過去の請求を修正(過誤請求)してください」と連絡を受けた際、多くの方がこう感じるはずです。
「事業所側には何ひとつ請求ミスも過失もないのに、なぜ事業所がわざわざ手間をかけて過誤請求をしなければならないのか?」
本来、過誤請求は「事業所側のミスや請求誤りを修正するため」の手続きというイメージが強いものです。
実際、厚生労働省の通知等においても、事業者側に過失がない場合の清算は「保険者と被保険者(自治体と利用者)の間で直接行うことが望ましい」とする考え方が示されています。
「それなら、自治体が直接利用者と差額の調整(返還や追徴)をしてくれれば良いのでは?」と考え、実際に自治体(保険者)の窓口へ問い合わせてみました。
自治体(保険者)に直接問い合わせて分かったリアルな事情
自治体へ「事業所に過失がない中で過誤請求を行う理由」と「協力しない選択肢はあるのか」を確認したところ、以下のような回答が得られました。
1. なぜ元データの修正(過誤請求)が必要なのか?
自治体側の説明によると、高額介護サービス費の支給計算や、自治体システムにおける給付実績管理の都合上、「元となるレセプトデータ自体を正しい割合(1割)に修正しておかないと、利用者への正しい還付手続きなどが処理できない」という仕組み上の理由があるとのことでした。
つまり、自治体側の給付管理システムを正しく機能させるために、事業者側の過誤請求によるデータ修正が不可欠になっているのが実情です。
2. 「過誤請求をしない」という選択肢はあるのか?
「あくまで事業者への協力依頼であるならば、申請(対応)しない選択肢もありますか?」と伺ってみました。
後日いただいた回答は以下の通りです。
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法律上の強制ではなく、あくまで任意での「協力依頼」である
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ただし、他の事業者もすべてこの手順で対応してもらっている
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利用者へ正しい給付・還付を行うため、協力をお願いしたい
自治体側としても、制度やシステムの構造上、事業者の協力に頼らざるを得ないという苦しい舞台裏があることが伺えました。
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まとめ
今回の事例から得られたポイントは以下の2点です。
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負担割合証は、住民税の更正等により「年度途中でも過去に遡って変更される」ことがある
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事業所に過失がなくても、高額介護サービス費や給付管理の都合上、「過誤請求の協力」を求められるのが実務のリアルである
返金対応やレセプトの再請求(同月過誤や通常過誤)など、現場にとっては手間のかかる作業です。しかし、「なぜこの手続きが必要なのか」という背景を把握しておくことで、納得感を持ってスムーズに対応を進めることができます。
現場で同じようなケースに直面し、「どうして事業所が対応するの?」と疑問に思った方の参考になれば幸いです。
