『相談に乗る技術』執筆中

感情を引き出す(2)

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共感してもらうと人は喜ぶ

人は相手に話を聴いてもらうことで満足感を得ることができます。ですから、相談に乗る場合はまず相手の話を聴くことが基本です。

そして、相談はコミュニケーションです。いくら話を聴いていたとしても、相手が「聴いてもらっている」と感じてもらえなければ、話を聴いたことにはなりません。

先ほどの例で、森本先生は相葉さんの話を聴いていたつもりかもしれませんが、それが相葉さんには伝わっていませんでした。

たとえば、このように相葉さんの話を聴けるとよかったのでしょう。

ケース2

森本先生
森本先生
どうされました?
相葉さん
相葉さん
実は、昨日から左肩が痛くて困ってるんです…。こんな痛みははじめてだから不安で…。
森本先生
森本先生
そうですか。急に痛くなったなんて、それは心配ですね。
相葉さん
相葉さん
そうなんですよ。どこかにぶつけたりとか何も思い当たる節がないので、悪い病気じゃないかと本当に心配で…。
森本先生
森本先生
動かすと痛みますか?じっとしてても痛みますか?
相葉さん
相葉さん
じっとしてると痛くないんですけど、動かすと痛みます。利き腕じゃないからいいですけど、それでも何をするにも不便で正直参ってます。
森本先生
森本先生
とてもお困りのようですね。どうですか、一度検査をして調べてみませんか?そうすれば、相葉さんのツラさも和らげられると思いますので。
相葉さん
相葉さん
はい。お願いします(話を聞いてくれて、いい先生だなぁ)。

こんな感じで、相手の話を聴いているということが相手に伝わるようにできるとよいでしょう。

「相手の話を聴いているということを相手に伝える」というポイントをおさえたうえで、ここではさらにワンランク上の話をしたいと思います。

ケース2で、森本先生は相葉さんの「困っている」という思いに対して「お困りのようですね」というように「共感」を示しています。

人は相手に話を聴いてもらい、さらに「共感」してもらうことで、満足感をさらに得ることができます。共感してもらうことで、「こんなわたしでもいいんだ」と思えるからです。ですから、相談に乗るときには、相手の話を共感するという姿勢が大切になります。

・相手の話を聴いているということを、相手にわかってもらうようにする

・相手の話を聴いて、さらに共感をする

 

感情を表現してもらう

では、相手を共感をするためにはどうすればいいかということについて考えてみましょう。

共感をするために重要なことはシンプルで、「相手に感情を表現してもらうこと」です。

共感とは、相手の気持ちを理解するという行為です。つまり、共感をするためには、相手に気持ちを表現してもらうことが必要不可欠となります。

相手の感情がわからなければ、共感なんてできませんからね。

ですから、まず相手に感情を表現してもらうということが大切なんです。

感情、特に不安や悲しみといったネガティブな感情を表現できることで、人は安心感を得ることができます。これを「カタルシス効果」といいます。

つまり感情が表現できるだけでも、人は大きな満足感を得ることができるのです。

ケース1では、森本先生が処方した薬のおかげで、結果的に相葉さんの痛みは落ち着いています。そういう意味で、医療的に森本先生は相葉さんの問題を解決したと言えるかもしれません。

しかし、相談という視点で見たときに、これは失敗と言えるでしょう。なぜなら、相葉さんの「困っている」という気持ちを解消することができなかったからです。相手にネガティブな気持ちのまま帰っていただくということは、相談的にはNGです。

・相談の中で相手の感情を引き出す

 

ネガティブな感情を否定しない

カタルシス効果について先ほど触れましたが、人はネガティブな感情を表現することで安心感を得ることができます。

しかし、人は自分の感情、とりわけネガティブな感情を相手に話すことに少なからず抵抗を覚えるものです。

相談に乗る側は、このことを理解しておかなければなりません。

大切なのは、相手がネガティブな感情を表現したときに、その感情を否定しないことです。

ケース3

森本先生
森本先生
どうされました?
相葉さん
相葉さん
実は、昨日から左肩が痛くて困ってるんです…。こんな痛みははじめてだから不安で…。
森本先生
森本先生
特に問題なさそうに見えますけど、念のため検査してみましょうか。

 

このケースだと、森本先生は「痛くて困っている」という相葉さんの気持ちに対して、「問題なさそうに見える」と、否定で返してしまっています。

そうすると、相葉さんは「痛くてつらい」というネガティブな気持ちを、それ以上伝えにくくなってしまいます。

森本先生は、「それはおつらいですね」のように、相葉さんの気持ちを一度受け入れておくことで、その後の相葉さんの感情表現を妨げずにすみます。

このように、ネガティブな感情であっても否定せず、話しやすい雰囲気をつくってあげることが、相談に乗る側には求められると言えます。

相手がネガティブな感情を表現してきても無下に否定せず、まずはいったん話を聴く、という懐の深さを持って相談に乗れるとよいでしょう。

・相手のネガティブな感情表出を否定せず、いったん受け入れる