ここまでで、相談することへの心理的なハードルについてわかっていただけたと思います。
それでは、なぜ人はそうまでして誰かに相談をするのでしょう?
わざわざ自分の気持ちと向き合い、悩みを言葉にして他人に伝えるという苦労をしてまで相談するわけですから、相談する側にはそれ相応のメリットがないと割に合わないというものでしょう。
いったいわたしたちは、相談することにどのようなメリットを感じているのでしょう。
ここでは、相談することで得られる3つのメリットについてご説明していきます。
相談することの3つのメリット
新たな視点を取り入れられる
悩みを自分の中だけで考えることには、限界があります。
誰かに相談し他者の力を借りることで、自分の中だけでは考えつかない新たな発想が生まれます。
人間誰しも、それまでの人生で培ってきた考え方のクセやパターンがあります。
なにか困ったことが起きたときは、無意識のうちにいつもと同じような思考パターンで考えてしまうものです。
それで無事解決すれば問題ありませんが、解決しないとき、自分の思考パターンだけで新たな発想を生むことはなかなか難しいです。
自分の思考だけでは、どうしても発想が凝り固まってしまいます。
相談することにより他者の視点を取り入れ、新たな視点で問題解決をしていくことができます。
また、誰かに話を聴いてもらうことで、自然と自分の気持ちが整理されていきます。
自分が何に悩んでいるかが、相談によってわかってくるということもあります。
悩む時間を短くできる
相談することで、問題解決の時短効果が得られます。
たとえば、わたしは生活相談員という仕事をしていますので、高齢者介護のことについては人よりも詳しいです。
もしあなたの家族に介護が必要になったとき、自分ひとりで「どうしよう、どうしよう」と悩むより、わたしのような専門家にまず相談したほうが、よりはやく問題解決することができるでしょう。
「ああじゃない、こうじゃない」と悩みすぎて時間だけが過ぎていくことは、精神衛生上よくありませんからね。
相談をすることで無駄な時間を過ごすことがなくなりますし、悩んでいる時間も短くなって楽になります。
話すことで気持ちが楽になる
「カタルシス効果」というものがあります。
カタルシス効果とは、感情を口に出すことで不安が緩和されるという効果です。
人は自分の気持ちを誰かに話すだけで、このカタルシス効果がはたらいて気持ちが楽になるものなのです。
さらに、相談相手から共感してもらうことができたら、相談者の気持ちも満たされます。
共感してもらえると、人はうれしいものです。
相談に乗る側の気持ちとして、「わたしなんて、相手の話を聴くくらいしかできないから…」と考える人がいるかもしれませんが、まずは「話を聴く」だけでいいのです。
話を聴くだけでも、立派な相談です。
なぜなら、話を聴くことによって、相手の「自分の気持ちを誰かに話したい」という問題を解決しているからです。
ですから、ただ相手の話を聴くというだけでも、それだけで十分相手の役に立っているわけなんですね。
この相談の効果をあなどってはいけません。