ここでは、生活相談員のスキルのひとつである利用者の基本情報の作り方について、具体的な方法を含めてご説明したいと思います。
生活相談員の方で、「基本情報作成のポイントが知りたい」という方がいらっしゃっいましたら、ぜひご覧ください。
基本情報とは?
ここでいう基本情報とは、施設利用者の情報をあらかじめまとめたもののことです。
特に初めてのご利用になる方の情報は、介護スタッフにとって必要不可欠なものです。
事前に生活相談員が利用者に会い、情報収集をし、それを書式に落とし込みます。
所定の書式は特にありませんので、施設ごとに様々です。
そうすることで、その利用者の情報を全職員が共有することができます。
「法令上絶対に用意しなければならない」というわけではありませんので、基本情報を用意しない施設ももしかしたらあるかもしれません。
基本情報を作るときの考え方
わかりやすく正確に
基本情報は、利用者のことについて読み手へ、“わかりやすく正確に伝えるため”に作ります。
なぜなら、介護職員がきちんと情報を把握していれば、その利用者がどんな方で何に気を付ければいいかが理解でき、適切なケアの提供を行えるからです。
前もって情報を得ておくことで、介護職員は安心して働くことができます。
つまり、“介護職員を働きやすくするため”に、生活相談員は基本情報をわかりやすく正確に伝えなければならないのです。
介護施設は人間のサラダボウル
一口に介護職員といっても、キャリアはひとそれぞれです。
学校で介護を専門に勉強をしてきた人もいれば、介護の知識が全くない人もいます。
介護福祉士の資格を持っている人もいれば、無資格者だっています。
高卒の人もいれば、大卒の人もいます。
年齢層も様々です。下は10代から、上になると70代くらいまでいるのではないでしょうか。
これだけキャリアの違う人たちが、同じ場所で働いているのが、介護施設の特徴です。
アメリカは人種のサラダボウルと言われますが、介護施設はまさに“人間のサラダボウル”と言えます。
生活相談員はこのような様々な職員を相手に、わかりやすく正確な基本情報を伝えなければなりません。
具体的な3つのポイント
では、具体的にどうしたら、わかりやすく正確な基本情報を作ることができるのでしょうか?
難しい漢字、不必要な漢字を使わない
漢字の使用には気をつかいましょう。
前述しましたように、介護施設の職員は様々な職員がいます。
中には、文字を読むことに苦手意識のある人だっています。
漢字が読めない人だっているのが、介護業界です。
そんな人に漢字だらけの基本情報を渡したって、きっと読んでもらえないでしょう。
読めない漢字を使っていては、せっかくの情報が伝わりません。
情報が伝わらなければ、基本情報なんて作っても意味ありませんよね。
基本情報は読んでもらって、理解してもらってなんぼです。
中学生レベル程度の漢字を使い、理解してもらえる文を書くことを心がけましょう。
例えば『浮腫』ではなく『むくみ』、『含嗽』ではなく『うがい』などのようにです。
また、『為』や『無し』など、あえて漢字を使う必要のない言葉は、『ため』、『なし』のようにひらがなで書いておくと、パッと見の抵抗感を少なくすることができます。
「浮腫が強い為移動は車椅子」
より
「むくみが強いため移動は車イス」
のほうが、読み手は読みやすいはずです。
パソコンの変換機能で漢字に変換されてしまうこともありますので、意識的に読みやすいひらがなに変換して作成することを心がけるとよいです。
専門用語はひかえる
専門用語もなるべくひかえるとよいでしょう。
例えば、『糖尿病』を『DM』と記載したり、『高血圧』を『HT』と記載したりなどです。特に医学用語に多いですね。
その言葉がわかっている人には伝わりますが、専門用語が分からない人には理解できません。
つまり、全ての職員に伝わらない可能性があります。
「DMで○○HP入院。ENT後はサ高住入居予定。」
ではなく
「糖尿病で○○病院入院。退院後はサービス付き高齢者向け住宅入居予定。」
のように専門知識がなくてもわかる言葉を使って伝えるとよいでしょう。
日付は具体的に書く
日付は具体的に記載しておくことをおすすめします。
例えば、
「1週間前に~」
と記載するより
「○月○日に~」
と記載したほうが、誤解を生みません。
「1週間前に〜」という書き方では、いつの時点から1週間前なのかがわからず、共通の認識を作りにくいためです。
それがいつ起きたのか一目でわかるよう、「具体的な日にち」を記載しておくと良いですね。
まとめ
ここでは、基本情報をわかりやすく伝えるための方法をご紹介しました。
3つの方法はとても単純なことではありますが、結構重要な内容だと思います。
人に何かを伝えるということって、難しいじゃないですか。
伝えたつもりでいても、「受け取り方が違っていてうまく伝わってなかった」とか、介護業界では日常茶飯事だと思います。
情報伝達のエラーを最小限にして正確に基本情報を伝えられるように、ここでご紹介した内容が少しでも役立てばうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。