介護・福祉情報室

地域包括支援センターの理想と現実について

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先日、同事業所内の居宅ケアマネジャーと話をしていたときのことです。

彼の口から衝撃的な内容が発せられました。

話の内容にわたしは唖然としてしまいました。

今日はこの事実をお伝えしたいため、この記事を書こうと思います。

 

地域包括支援センターからの電話

うちの事業所の管轄になる地域包括支援センター(包括)のAさんから、うちのケアマネに電話があったそうです。

ひと通り要件を話して、電話を切りかけたそのとき、Aさんはこう尋ねてきました。

「そういえば○○さん、市から新規の担当依頼来なかった?」

身に覚えのないうちのケアマネは、

「来てないですよ」

と答えると、包括のA氏は続けて、

「もし来たらね、受けないほうがいいよ。困難ケースでケアマネがころころ変わっている人がいて、手を焼いてるみたい。今、市のほうで担当できるケアマネを探してるみたいだから。受けると大変だよ。うちも面倒だから。」

「…」

うちのケアマネは、絶句しながらも大人の対応をして話を合わせたそうです。

 

包括って何するところだっけ?

そもそも地域包括支援センターって、何のためにあるのでしょう。

介護保険法によると

地域包括支援センターは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域の住民を包括的に支援することを目的とする施設

だそうです。

つまり、地域で困っている人がいたら率先して助けに行く“正義の味方”なわけです。

包括の業務のひとつに、総合支援業務というものがあります。

これは、住民の各種相談を幅広く受け入れて、支援をしていくというものです。

もうひとつ、包括的・継続的マネジメント業務というものがあります。

これは、他事業所のケアマネジャーへの日常的個別指導・相談、支援困難事例等への指導・助言を行っていくというものです。

 

うーん…

 

こうして確認してみると、改めて包括A氏の発言は常軌を逸しているということがわかりますね。

蛇足かもしれませんが、A氏の発言の異常性について詳しく分析してみたいと思います。

 

A氏の発言の異常性

支援の対象を自ら選んでいる

地域包括支援センターには、“地域住民の支援”という存在意義があります。

“地域住民の支援”という行為の根底にあるものは、専門職としての倫理観です。

つまり、専門職として正しい姿勢で正しい行為をすることが求められています。

今回のケースでA氏は、自らが支援する対象を選んでしまっています。

「面倒くさい」、「誰かがやればいい」、「自分は関わりたくない」という気持ちが根底にあることが想像できます。

地域の問題を支援する専門職として、この姿勢はいただけませんね。

 

ケアマネへの指導責任を放棄している

包括は支援困難事例をケアマネとともに支援していかなければなりません。

その人の意思に基づいてケアマネとして担当することになるのであれば、その後方支援が包括に求められているということです。

A氏はその業務から逃げたということです。

「煩わしいことには関わりたくない。面倒なケースの後方支援なんてしたくないから手間かけさせないでくれ。」

という腹の内なのでしょう。

ケアマネへの指導をしていく立場の者として、あってはならない発言であったと思います。

発言の重大さが分かっていない

我々はしょせん人間です。

完璧な人なんていません。

嫌なことから逃げたいという気持ちとか、面倒くさいという気持ちとか、弱い部分を誰しも持ち合わせているものです。

それは仕方ありません。

しかしですね、そういった自分のマイナスの面を、ビジネスパートナーである他事業所のケアマネによく恥ずかしげもなく言えるなぁと思います。

たとえそう思っていたとしても、それを言うことで相手がどう捉えるかを想像できる人であれば、間違ってもそんな発言なんてできません。

今回の発言はとても軽率で、ビジネス関係においても人間関係にとってもマイナスしか生み出してません。

そんな想像力のない人に、他人の支援なんてどうやったらできるのだろうと思います。

 

まとめ ~ホントは素晴らしい地域包括支援センター~

先にも述べましたが、地域包括支援センターはその地域に暮らす住民を分け隔てなく助けることのできる、正義の味方です。

最近子どもがアンパンマンを好きで観ているのですが、アンパンマンのやってることって地域包括支援センターみたいだなぁ~って思いながら観ています。

困っている人を自分の力で助けてあげることができて、それを生活の糧とすることができるなんて、なんて素晴らしいんだろうと思います。

だって自分の専門的知識や経験を困っている人に直接届けることができて、その結果その人の生活を変えることができるんですよ。

地域包括支援センターの意義を理解してそれに基づいて仕事ができたら、わたしはその仕事にすごくやりがいを感じます。

そんな魅力的で価値のある地域包括支援センターですので、どうか正義の心を持った人材が活躍していけるようなものになっていってほしいなぁと思います。