介護・福祉情報室

【コロナ禍】デイサービスの生活相談員が感じている今後のリスク

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今回、まずはわたしが勤めているデイサービスの新型コロナウイルス対策の話を少々。

でも今回本当に話したいのはそこじゃなくて、新型コロナウイルスに感染することよりもこわいと感じていることについてお伝えしたいと思っています。

 

まずは、うちのデイサービスで行っているコロナウイルス対策についてです。

うちのデイサービスも他のデイサービス同様、厚生労働省からの通達に沿ってできる限りの対策を行っています

(厚生労働省からの通達は以下のリンクから。)

社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)

https://www.mhlw.go.jp/content/000619845.pdf

 

うちのデイサービスのコロナウイルス対策

・出勤時に検温し37.5℃以上の発熱時は出勤停止

・マスクの着用

・介助ごとの手指消毒

・施設内・居室内の定期的な換気

・手すり・イス・テーブルなどの定期的な消毒

・送迎車の換気・消毒

というように、厚生労働省からの通達に基づき、実行可能な感染症対策は行っています。とはいえ、厚生労働省からの通達のなかには実行が難しいものがあるのも事実です。正直言って、机上の空論だなぁって思うことがあります。

例えば、厚生労働省はデイサービスの利用者にマスクの着用を推奨していますが、高齢者はマスクしません。しませんと言えば言い過ぎですが、してくれない方が多いです。マスクの必要性を認識されていない方や、認知症があり着用が難しい方など、うちのデイサービスの利用者のマスク着用率は半分以下です。マスクを着用している方でも、正しいマスクの着用方法ができているかというと、決してできているとは言えません。

また、デイサービスには送迎があります。厚生労働省の通達に基づいて、車の窓を開けて換気には留意して運転していますが、施設の送迎車の台数は限られています。1台の車に何人もの利用者に乗ってもらわなければ、送迎業務は回りません。5人乗りの乗用車に5人乗ってもらわなければならないこともあるのです。ですから、送迎の車内は「密集」を作ってしまっているのが現状です。

感染拡大防止の観点から、「3つの密」(「換気が悪い密閉空間」、「多数が集まる密集場所」及び「間近で会話や発声をする密接場面」)を避けるように、と厚生労働省は呼びかけていますが、そもそもデイサービスというもの自体が、「多数が集まる密集場所」なのですから、それを避けることは難しいものがあります。

身体介助の場面など、介護サービスでは利用者と「密接」する機会も多いですからね。耳の聞こえにくいお年寄り同士、大きな声でつばを飛ばしながら世間話をしているという光景もよくあります。コロナウイルスの見識の低いお年寄りや認知症のあるお年寄り、そういった方の行為をその都度是正していくことは、我々にはもはや不可能です。完全に防ぐ方法は、「デイサービスを営業しない」しかありません。

このように、現場の人間から言わせると机上の空論であると言える通達を厚生労働省は発しているわけです。

ここでわたしが言いたいのは、決して「感染症対策なんて無駄だからやらなくていい」なんてことではありません。そうではなくて、もしデイサービスでコロナウイルスが発生した時に、「感染症対策が万全じゃなかったから発生したんだ」と、周りがとやかく言ってくることを危惧しています。

 

そもそも万全な感染症対策なんて不可能だし、厚生労働省の通達の通りにすべて行っていたら現場は回らない。どんなに対策していても、いつどこで誰が感染してもおかしくない状況は、どこの施設も同じだと思います。なるときはなる。

職員であれ利用者であれ、発生源が誰であれ、その人が周囲から責められたり誹謗中傷を受けることは避けたいなと思うのです。「お前んとこでコロナがうつっちまった」「慰謝料払え」とか利用者やその家族から言われたり、「あの利用者がマスクしてなかったから」とか、挙句の果てには「慰謝料払え」というような、そういう議論はしたくないなぁって思います。

世の中の流れとしては、コロナが発生したところ、持ち込んだ人は周囲から叩かれるという風潮にあると思います。この流れは、今後我々の働くデイサービスでも起こり得るのではないでしょうか。そう考えると、コロナウイルスに感染するより、その誹謗中傷にさらされることのほうがこわいなぁと思った次第です。