介護・福祉情報室

ショートステイの荷物チェックするかしないか問題

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こんにちは。生活相談員のtakumaです。

今日は「ショートステイの荷物チェック」についての話です。ショートステイの利用者は、みなさんそれぞれ荷物を持参されます。この荷物を紛失したり、返し忘れたりすることがよくあるのです。そのため施設側は、入所時と退所時に荷物チェックという業務を行うことで、荷物の返し忘れを防ぎます。


私の働いている施設では、兼ねてからこのショートステイの荷物チェックの是非について議論をしていました。そしてとうとう先日、ひとつの大きな意思決定がされたのです。

ショートステイで荷物チェックを「やらない」という意思決定です。荷物チェックをやらなくなることで、ショートステイの業務には大きな変化が生じてくると思われます。

ここでは、荷物チェックをしないことのメリット、デメリットを挙げ、荷物チェックの是非について考えてみたいと思います。

荷物チェックしないことのメリット

利用者に嫌な思いをさせないで済む

ショートステイの利用者の気持ちになって考えてみましょう。自分が利用する立場だったら、入所する度に持ってきた荷物をその都度全部見られて確認されるのは、あまりいい気持ちがしません。さらに、うちのショートステイは利用者の着ている服まで確認しているので、結構嫌な思いをさせていると思うんです。荷物チェックをしないことで、利用者のプライバシーを保護することができ、嫌な思いをさせずに済みます。

職員の業務量が減る

荷物チェックという業務があることで、職員には負担が重くのしかかります。荷物チェックの業務は、入所施設にはありません。利用者の入退所があるショートステイ特有の業務です。その荷物チェックをなくすことで、職員の業務量は大きく減らすことができます。

当たり前ですが、介護施設の目的は利用者へ介護を提供することです。荷物をチェックすることが目的ではありません。荷物チェックは生産的な業務ともいえません。ただ、利用者の荷物をチェックして、忘れ物や失くし物をしないようにすることを目的としたものだからです。荷物チェックをしないことで職員に業務量が減ったら、そのぶん利用者に対しての介護に時間を割くことが可能になります。

荷物チェックしないことのデメリット

忘れ物、失くし物が増える

ショートステイに、利用者の荷物の忘れ物、失くし物はつきものです。荷物チェックをしていることで、忘れ物の件数をある程度減らすことができると思います。それを「しない」ことにしたら、当然忘れ物、失くし物は増えるでしょう。そして、利用者やその家族からクレームをもらうことも多くなるでしょう。

例えば、荷物チェックをしている現時点でも、こんなに忘れ物が発生することがあります。


これ以上に忘れ物が増えることになるのは、ちょっと大変だなって思います。

増えるであろう忘れ物への対応が課題

荷物チェックをしなくなったことで増加するであろう忘れ物への対策が、今後の課題となります。これに関しては、「どうしたら忘れ物を増やさないようにするか」よりも「忘れ物、失くし物があって当たり前」と利用者や家族へ理解してもらうことのほうが大切だなぁ、と思っています。

「荷物チェックなし」にするまでの間に、利用者や家族へ「忘れ物があっても仕方ないよね」と思ってもらえる空気を作っていけるかがカギだと思っています。前述したデメリットには目をつぶっていただき、メリットをPRしていきたいと思います。

貴重品のチェックだけはしたほうがいい

いくら荷物チェックをしないとはいえ、貴重品はその限りではありません。入れ歯や補聴器、保険証などといった貴重品のチェックは、今後も続ける方向性です。このような貴重品は、下着や衣類などの荷物とは違って、紛失してしまった時に替えがききません。よって、相手に大ダメージを与えてしまいます。その結果、一発で大クレームになってしまいます。荷物チェックをしないとはいえど、貴重品のチェックだけはしたほうがいいと思っています。

最後に~荷物チェックをしたくない理由~

いかがでしたでしょうか。ショートステイの荷物チェックには様々な考えがあると思います。今は荷物チェック専用のアプリなんかもあるようですし、やる気になればもっとほかの方法をとることができると思います。

わたしたちの施設がなぜ荷物チェックをしたくないかというと、「利用者を管理したくない」からです。それが利用者のためであり、職員のためでもあると思います。利用者は囚人ではなく、職員は看守ではありません。たかが荷物チェックですが、それが職員の役割としてあることで、無意識のうちに職員に看守と囚人の関係を作り出してしまうのではないか、と危惧しています。

荷物チェックがなくなって、果たしてうちのショートステイがどうなるか、またお伝えしたいと思います。乞うご期待ください。