認知症のことについて、色々とまとめてあります。
認知症者数
2015年に行った厚生労働省の調査によりますと、認知症の高齢者は2012年で約462万人(65歳以上の人口に対する有病率は約15%)いるそうです。これは、65歳以上の高齢者の約7人に1人にあたります。85歳以上の女性においては有病率58.9%という数字が出ていて、認知症でない人のほうが少ないという結果となっています。
「団塊の世代」が75歳以上となる2025年には、約700万人(65歳以上の人口に対する有病率は約20%)、高齢者の5人に1人が認知症になると推計されています。
世界に目を向けてみましょう。WHOによると、2015年時点で約5000万人が認知症に罹患しており、毎年約1000万人が新たに発症しているとのことです。2030年には約8200万人、2050年には1億5200万人に増えると見込まれています。
認知症の定義
成年期以降に、記憶や言語、知覚、思考などに関する脳の機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたすようになった状態。
これを認知症といいます。
脳の器質的な障害
脳に器質的な障害があり、それにより認知機能が低下していることが認知症です。高齢者はたくさんの薬を処方されがちです。その薬の副作用によって認知症に似た症状が引き起こされることもあり得ますが、それは薬の影響ですので認知症ではありません。
意識障害がない
話しかけても意識がなかったり、意識が混濁していたりするような意識障害と認知症は区別されています。
感情や行動の面などで様々な変化がみられる
認知症のほぼすべてにみられる中核症状のほかに、周辺症状(BPSD)がみられます。
「今までの暮らしができなくなること」が、認知症という病気の本質です。
認知症の種類
以下は代表的な4種類の認知症です。
アルツハイマー型認知症
アミロイドβ(ベータ)というたんぱく質が発生し、脳が委縮することによって起こる認知症です。症状としては、数分前に食事をしたことを忘れる、何度も同じことを聞く、季節や時間の見識がなくなる、着替えができなくなる、家族の顔がわからなくなる、といった症状が現れます。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血の後遺症で起こる認知症です。うつ状態、感情失禁、自発性の低下、などの症状が現れます。物忘れはありますが、判断力、計算力、常識などが維持されている場合が多いです。障害されていない部分の脳は正常に機能するので、症状がまだらに表れるのが特徴です。
レビー小体型認知症
レビー小体というたんぱく質が、脳の大脳皮質に蓄積することで起こる認知症です。幻視やパーキンソン症状が特徴的です。アルツハイマー型認知症と比べると、認知機能の障害は軽いといわれています。
前頭側頭型認知症
若年性認知症に比較的多いといわれています。前頭葉、側頭葉に異常たんぱく質が蓄積して起こる認知症です。特に前頭葉は思考や感情をコントロールするところなので、進行すると理性が失われてきて本能のままに行動したり、人格障害が起こったりします。
診断の流れ
問診
まずは問診です。どのような症状があるのか、これまでの経過や他の病歴の確認が行われます。
神経心理検査
長谷川式スケールやMMSEなどといった、神経心理検査が行われます。
画像検査
CTやMRIなどの画像検査が行われます。
その他の検査
必要に応じて、脳波の検査や脳脊髄液の採取が行われます。
これらの結果から総合的に判断されます。
軽度認知障害(MCI)
健常でも認知症でもない中間の状態を、軽度認知障害(MCI)といいます。
国の推計では、2012年時点で認知症の高齢者462万人に対し、軽度認知障害(MCI)の人は400万人とされています。
認知症は予防できるのか
2019年5月に、WHOがはじめて「認知症予防ガイドライン」を公開しました。
「認知症予防ガイドライン」では、適度な運動、禁煙、適正な飲酒、バランスの取れた食事などといった指針が示されています。
20200410_theme_t22.pdf (jri.co.jp)