介護サービス

公正中立とか言ってないでケアマネは所属先の利益を追求すべき!

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ケアマネになるためには、試験に合格したあとに『介護支援専門員実務研修』というものを受講します。

…実は私もこの前受講してきました。

(お金と時間をかけたのに、あの内容… 改めてこの業界の先行きの暗さを感じましたよ…)

それはさておき、その実務研修の中でちょくちょく出てきたのが、「利用者を主体とした公正・中立な立場でサービスを調整するのがケアマネの役割です」という話。

 

ちょっと待ってください!

研修の講師の人って、本当に心からそう思って言ってるのでしょうか?

もしそうなのだとしたら、その講師の先生はきっと思考停止に陥っていると思うんですよ。

だって、ケアマネが公正中立な立場をとれるわけないじゃないですか!

教科書通りの話しかしない講師の方々に、本当にこの業界の未来を感じませんでしたよ…

もっと本音を語ればいいのに。

というわけでこの記事では、なぜケアマネが公正中立という立場を保つことができないのかということについて、説明していきたいと思います。

 

ケアマネが公正中立を保てない理由

居宅介護支援事業だけでは稼げない

ケアマネが公正中立を保てない理由は、介護保険のシステムにあります。

平成28年度の時点で、居宅介護支援事業所(ケアマネが働いている事業所です)は約4万4000ヶ所存在しています。

そのうち、居宅介護支援事業の他にサービスを提供していない、単独の事業所が約1割あります。

つまり残り9割、約4万ヶ所の居宅介護支援事業所は、居宅介護支援事業の他に、デイサービスや訪問介護など何かしらの事業所が併設されている法人であるということです。

次に、居宅介護支援事業所の収益について見ていきたいと思います。

平成28年度の調査では、居宅介護支援の収支差率は-1.4%と、全ての介護サービスの中で唯一の赤字です。(全サービス平均の収支差率は3.3%)

つまり居宅介護支援事業所は、法人にとってお荷物事業ということです。

 

そんなお荷物事業を、なぜ法人は抱えておくのか?

 

答えは簡単です。

 

ケアマネを集客のツールとして考えているから。

これです。

ケアマネなしでは集客できない

居宅介護支援事業だけで見たら赤字だけど、ケアマネの担当している利用者に同法人の別サービスを利用してもらって、そっちで利益を上げよう、ということですよね。

当然の考え方ですよね。

利用者をサービスにつなぐことができるのはケアマネだけです。

そのケアマネを法人がコントロールすれば、効率的にサービス利用者を集めることができるわけです。

だから、ケアマネは赤字であっても、別サービスへ集客してトータルで黒字であれば、法人としてはOKですよね。

いくら、保険者がケアマネに「公正中立!」と叫んだとしても、所属する組織がつぶれてしまっては、ケアマネも食べていけなくなるわけですから。

公正中立なんて言ってる場合じゃなくなりますからね。

当然、所属法人のサービスを使ってもらえるように努力します。

(法令上ケアマネが「うちの法人のサービス使ってください」と、露骨に言うことはできませんので、うまく誘導するのです。)

集中減算がどうしたって話です。

集中減算は、逆を返せば減算すれば集中して利用していいですよっていう解釈ができますからね。

 

集客して何が悪い

そもそも、所属法人に集客をして何が悪いっていう話ですよ。

例えば、ラーメン屋さんは自分の店のラーメンを食べてほしいって思うじゃないですか。

間違っても「他にもうまいラーメン屋があるからあっちいきなよ」なんて言わないじゃないですか。

自分の店のラーメンを食べてほしいから、日々試行錯誤を重ねておいしくする工夫をしていくわけですよね。

そうやって、よりよいものをお客さんにお届けしていくわけですよ。

ラーメン屋さんに限らず、どんな業種も基本は同じはずです。

自分のお店に集客をして、よいサービスを提供して満足してもらう。よいサービスにはたくさんの人が集まる。たくさんの人に利用してもらうことで、より多くの価値を提供することができる。その対価として報酬を受け取る、というロジックが世の中の常識です。

 

それなのに介護業界だけは、公正中立という出来もしない綺麗事をただ掲げるだけで、実行できる仕組み作りは行わず、果てはそのことに何の疑問も抱かない研修講師のような存在を作り出しているのです。

介護業界は「うちのサービスいいですよ!」と言うことが禁止された、ねじ曲がった仕組みがあるのです。

ですので、既存の介護保険のシステムでは、ケアマネを公正中立な立場で法人に所属させることは困難なのです。

 

公正中立への賛否

私は、ケアマネが公正中立な立場をとることについては賛成です。

公正中立な立場で、利用者の代弁者としてのケアマネの存在価値はあると思います。

しかし、居宅介護支援事業単独での経営が困難であったり、所属法人に併設サービスが存在するといった状況である以上、現状では公正中立の立場をとることはできないよね、ということを認めるべきだと思うんです。

例えば、『居宅介護支援事業の単独経営が成り立つような介護報酬の改定』であったり、『ケアマネを公務員にしちゃおう』なんていうような施策を、国は現時点で行う気はなさそうです。

国にやる気がない以上、現行のシステムは変わりません。

だったらケアマネは所属法人の発展のために集客していた方が、結果的に利用者にとっても法人にとっても利益を生むことができると思うのです。

実現不可能な公正中立を追い求めるより、所属法人を発展させ、そのことにより利用者の利益を守っていくことの方が現実的な考え方ではないでしょうか。