生活相談員研究室

回復期リハビリ病院なのに患者を身体拘束するのって…

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回復期リハビリテーション病院が増えています。

 

2015年に全国に130,217床だったのが、2018年時点では170,960床約40,000床も増加しています。

 

確かに、リハビリって大切ですよね。

 

でも、ただ回復期の病床を増やせばいいってもんではないと思うのです。

 

仏作って魂入れず

 

と言いますように、肝心なのは中身でしょう!

 

というわけで、今回はリハビリのあり方についてのハナシです。

 

 

リハビリの本質って?

リハビリの本質ってなんでしょう?

 

調べてみました。

 

『リハビリテーションとは、身体的、精神的、社会的に最も適した生活水準の達成を可能とすることによって、各人が自らの人生を変革していくことを目指し、且つ時間を限定した過程である』(出典:Wikipedia)

 

ということです。

 

つまり

身体的なリハビリだけがリハビリテーションではない!

 

ということ。

 

では、回復期リハビリテーション病棟って何をするところなのでしょう?

 

『回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患または大腿骨頚部骨折などの病気で急性期を脱しても、まだ医学的・社会的・心理的なサポートが必要な患者さんに対して、多くの専門職がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻っていただくことを目的とした病棟です』出典:回復期リハビリテーション病棟協会)

 

とあります。

 

 

リハビリテーションの目的は、その後の人生、つまり生活である!ということ。

 

あくまでもリハビリは手段です。

 

 

ですから、回復期リハに求められるものは「リハビリを行った先にある生活でなければならない」という理屈が成り立ちます。

 

 

身体拘束される患者さん

 

先日、回復期リハ病院を訪れた際のことです。

 

目的は、サービス利用希望者の初回面接でした。

 

お会いしたその方は…

 

「認知症があり転倒のリスクがあるため、1時間のリハビリをする以外は、車イスに抑制ベルトで固定して過ごされている」

とのこと…

 

さらに部屋の床にはセンサーマット。

 

病院の都合で、ガチガチに固定されているという現状でした…

 

完全な身体拘束です。

 

安全だけを追い求め、行動を制限され、尊厳を失った人の姿がそこにはありました。

 

拘束されてたら生活できない!

 

リハビリっていったい何なのでしょう…

 

生活を作り上げていくための手段だったはずです。

 

 

こんなガチガチに行動制限され、およそ“生活”とは間逆の位置にいる人に、退院と同時に突然“生活”を求めたって、そんなの無理ですよ。

 

病院では、拘束なんて日常茶飯事なのかもしれません。

 

ですが、退院して家に戻ったら、施設に入ったら、拘束は罪です。

 

拘束された“生活”なんてあり得ません。

 

そうであれば、なぜ入院中に拘束をし続けるのでしょうか?!

 

リハビリという手段をフル活用して、その後の生活を作り上げるのが本来回復期リハ病院のあるべき姿なのではないのでしょうか?!

 

たった1時間のリハビリよりも、残りの23時間の過ごし方のほうが大切でしょうよ!

 

「拘束なんて生活じゃない!外そう!俺たちは生活を作り上げるサポートをしていくんだ!」

っていう姿勢が、回復期リハに求められていると思うのですが

 

現実は…

 

 

スタッフは頑張ってる!

…本当は病院で働くスタッフだって、そんなことしたくないと思うのです。

 

しかし制度上の問題であったり、マンパワーの不足であったり、ノルマに追われたり…

理念を形にするには、現状として大きな壁があるのでしょう。

 

スタッフは本来の自分たちの役割を果たせずに、ジレンマを抱えながら仕事と向き合っているのだと思います。

誰も、好き好んで拘束なんてしてません。

 

他にたくさんお金儲けの手段がある中で、あえてこの仕事を選んだわけですから、そこで働くスタッフにはきっと思いがあるはずです。

 

もし妥協してしまったら「何のためにこの仕事してるんだ!」って話です。

 

リハビリの本来の理念を達成することのできる、回復期リハ病院を目指したいものです。

 

たとえすぐに現状が変わらないとしても、現状に対する問題意識と、「今は無理でもいつか必ず」という思いを持って、本来のリハビリのあり方を見失わないようにしたいものですね。