『相談に乗る技術』執筆中

相談って何でしょう?

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相談のとらえ方は人それぞれ

「ねぇあなた、ちょっと相談に乗ってくれない?」

「主任、実は○○の件で相談なんですけど…」

夫婦間の会話や職場での会話など、わたしたちは普段の会話の中で何気なく「相談」という言葉を使っています。

ですが「相談」と一口に言っても、その言葉のとらえ方は人によってまちまちです。

たとえば、Aさんは相手に自分の話を聞いてほしいときに、「相談」という言葉を使います。

ところが、Bさんは相手の話を聞きたいときに、「相談」という言葉を使います。

AさんとBさんが求めているものは真逆ですが、使う言葉はどちらも同じ「相談」です。

このように、同じ「相談」という言葉でも、人によって意味のとらえ方が違うということがわかります。

 

「打ち合わせ」「話し合い」「協議」などのように、日本語には「相談」とよく似た言葉があります。

また、「相談」を英訳すると、「advice(アドバイス)」「consultation(コンサルテーション)」「discussion(ディスカッション)」「counseling(カウンセリング)」といった言葉になります。

このようなことからも、「相談」は様々なとらえ方ができる言葉であると言えます。

 

本書では、これから「相談」について説明していくわけですが、「相談」という言葉の意味についてあなたと本書との認識を同じものにしておかないと、あなたの理解にズレが生じる恐れがあります。

ですので、ここでは本書で用いる「相談」の意味を定義づけておきたいと思います。

 

相談の定義

本書では、「相談」を「困りごとを解決していくためのコミュニケーション」と定義します。

この定義はさらに3つに分解することができます。

分解すると、以下のとおりです。

① 困ったことがあるときに相談をします

② 解決に向けるために相談をします

③ 相談はコミュニケーションです

 

① 困ったことがあるときに相談をします

「明日の夕飯どうしよう?」といったものや、「どこに就職したら?」といったものなど、困っていることの大小はあるにせよ、相談が「困っていること」を対象にしていることは間違いありません。

困っていることのない相談は、もはや相談とは呼びませんよね。

相談に乗るときはまず、「相手の困りごとが何か」を把握しなければなりません。

困っていることが明確なら相談に乗りやすいですが、複雑な相談になると何に困っているのか、相談者ですらよくわかっていないことがあります。

ですから相談に乗るほうは、まず「相手は何に困っているか」を明らかにする必要があるのです。

「困りごとをどう把握すればいいか?」といった、相談を受ける際の技術については、第2章以降で説明していきますね。

 

② 解決に向けるために相談をします

相談は、問題解決のためにするものです。

では問題解決とは、いったいどのようなことを指すのでしょうか?

ここで言う問題解決とは、「ものごとにポジティブな変化を起こすこと」を指します。

あくまでもポジティブな変化が起きなければ、問題解決とは言えません。

いくら自分では相談に乗ったつもりでも、相談の前後で相手がポジティブに変化していなければ、相談に乗ったとは言えないのです。

厳しいようですが、ただ相手と話をするだけではダメだということですね。

とはいえ、100%完全な問題解決をしなければいけないかというと、そうでもありません。

変化がゼロでなければいいわけですから、たとえば「相談に乗ったことで相手の気持ちがちょっと軽くなった」、というようなことでもいいんです。

完璧主義に陥らずに、肩の力を抜いて相談に向き合ってもらえればと思います。

 

③ 相談はコミュニケーションです

言うまでもないですが、人はひとりで相談をすることはできませんよね。

相談はコミュニケーションです。

さらに言うと、相談は「相談をする側とされる側が双方向で行うコミュニケーション」です。

ですから相談をするためには、必ず相手が必要になります。

コミュニケーションですから、相談に乗る側にはコミュニケーションスキルが求められます。

ですが、相談に乗るときに必要なコミュニケーションスキルは、普段のコミュニケーションスキルとは少し違います。

たとえば、第3章にある「相手に9割話をさせよう」というもの。

普段の会話であれば、お互い対等に話すのがベストです。

しかし、相談は問題解決という目的がありますので、いつも通りの会話をしているだけではNGなのです。

普段の会話とは違って相手に多く話をしてもらう必要があり、またそのためのスキルが必要となるのです。

このように、相談には相談特有のコミュニケーションスキルが必要になってきます。

本書の第3章と第4章で、このコミュニケーションスキルを深堀りしていきます。

どれも知っているだけで即効性のあるスキルですので、知っていて損はありませんよ。

 

① 相手の困りごとは何かを把握する

② 相談によってポジティブな変化を起こす

③ 相談特有のコミュニケーションスキルが必要