2021年度の介護報酬改定で、デイサービスの加算算定項目に大きな変化がありました。いわゆる「LIFE関連加算」の新設です。
(参考:【LIFE(ライフ)とは?これだけ知っておけば大丈夫】)
LIFE関連加算ができたことにより、デイサービスの加算算定はますます複雑になりました。
この記事では
「どの加算でLIFEへの情報提供が必要なんだっけ?」
という疑問が解消できるように、デイサービスのLIFE関連加算(LIFEへの情報提供が必須の加算)についてまとめました。
takuma
生活相談員(社会福祉士・介護支援専門員)。
デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。
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デイサービスに新設されたLIFE関連加算は、次の5つです。
① 科学的介護推進体制加算
② 個別機能訓練加算(Ⅱ)
③ ADL維持等加算
④ 栄養アセスメント加算
⑤ 口腔機能向上加算(Ⅱ)
ひとつひとつ見ていきましょう。
科学的介護推進体制加算
科学的介護推進体制加算は、2021年度の改定で新設された加算です。
LIFEへ情報を提供することが、算定要件のひとつになっています。
2021年度改定前 | 2021年度改定後 |
---|---|
なし | 科学的介護推進体制加算 40単位/日 |
利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の利用者の心身の状況等に係る基本的な情報を、厚生労働省へ提出していること。
必要に応じてサービス計画を見直すなど、サービスの提供にあたって、上記の情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。
(参考:【LIFE】科学体介護推進体制加算によってデイサービスに起きた変化とは?)
個別機能訓練加算(Ⅱ)
今までの個別機能訓練加算の算定内容が変更になり、個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定するにはLIFEへの情報提供が必要になりました。
2021年度改定前 | 2021年度改定後 |
---|---|
個別機能訓練加算(Ⅰ) 46単位/日
個別機能訓練加算(Ⅱ) 56単位/日 |
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ 56単位/日
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ 85単位/日 ※イとロは併算定不可 個別機能訓練加算(Ⅱ) 20単位/月 ※加算(Ⅰ)に上乗せして算定 |
【ニーズの把握・情報収集】
機能訓練指導員等が、利用者の居宅を訪問し、ニーズを把握するとともに、居宅での生活状況を確認。
【計画作成】
居宅訪問で把握したニーズと居宅での生活状況を参考に、多職種共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成。
【訓練の対象者】
5人程度以下の小集団または個別
【機能訓練指導員の配置】
専従1名以上配置
(Ⅰ)イ:配置時間の定めなし
(Ⅰ)ロ:サービス提供時間帯通じて配置
【機能訓練項目】
利用者の心身の状況に応じて、身体機能および生活機能の向上を目的とする機能訓練項目を柔軟に設定。
【訓練の実施者】
機能訓練指導員が直接実施(介護職員等が訓練の補助を行うことは妨げない)
【進捗状況の評価】
3ヵ月に1回以上実施し、利用者の居宅を訪問した上で、居宅での生活状況を確認するとともに、当該利用者またはその家族に対して個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、必要に応じて個別機能訓練計画の見直し等を行う。
個別機能訓練加算(Ⅰ)に加えて、個別機能訓練計画等の内容を厚生労働省へ提出し、フィードバックを受けること。
(参考:【2021年度改定】デイサービス個別機能訓練加算(Ⅰ)イの算定方法)
ADL維持等加算
2018年度の介護報酬改定で新設されたADL維持等加算に、LIFEへの情報提供とフィードバックの活用が求められるようになりました。
2021年度改定前 | 2021年度改定後 |
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ADL維持等加算(Ⅰ) 3単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ) 6単位/月 |
ADL維持等加算(Ⅰ) 30単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ) 60単位/月 ※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可 ADL維持等加算(Ⅲ) 3単位/月 ※従来のADL加算がADL加算(Ⅲ)となり、令和5年3月31日までの経過措置の後廃止される。 |
イ 利用者等(当該施設等の評価対象利用期間が6月を超える者)の総数が10人以上であること。
ロ 利用者等全員について、利用開始月と当該月の翌月から起算して6月目(6月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、バーセルインデックスを適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること。
ハ 利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じた値を加えて得た値(調整済ADL利得)について、利用者等から調整済ADL利得の上位および下位それぞれ1割の者を除いた者を評価対象利用者等とし、評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が1以上であること。
ADL維持等加算(Ⅰ)のイとロの要件を満たすこと。
評価対象者の調整済ADL利得を平均して得た値が2以上であること。
栄養アセスメント加算
2021年度の改定により、栄養アセスメント加算が新設されました。
算定には、LIFEへの情報提供が必要です。
単位数
2021年度改定前 | 2021年度改定後 |
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なし | 栄養アセスメント加算 50単位/月
※口腔・栄養スクリーニング加算および栄養改善加算との併算定は不可 |
当該事業所の従業者としてまたは外部との連携により管理栄養士を1名以上配置していること。
利用者ごとに管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種が共同して栄養アセスメントを実施し、当該利用者またはその家族に対してその結果を説明し、相談等に応じ対応すること。
利用者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省へ提出し、栄養管理の実施にあたって、当該情報その他栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。
口腔機能向上加算(Ⅱ)
既存の口腔機能向上加算が(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれました。
上位区分の(Ⅱ)を算定するためには、LIFEへの情報提供が必要になります。
2021年度改定前 | 2021年度改定後 |
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口腔機能向上加算 150単位/回 | 口腔機能向上加算(Ⅰ) 150単位/回
口腔機能向上加算(Ⅱ) 160単位/回 ※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可 |
言語聴覚士、歯科衛生士または看護職員を1名以上配置していること。
利用者の口腔機能を利用開始時に把握し、言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画を作成していること。
利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画に従い、言語聴覚士、歯科衛生士または看護職員が口腔機能向上サービスを行っているとともに、利用者の口腔機能を定期的に記録していること。
利用者ごとの口腔機能改善管理指導計画の進捗状況を定期的に評価すること。
※原則3月以内、月2回を限度。
口腔機能向上加算(Ⅰ)の取り組みに加え、口腔機能改善管理指導計画の情報を厚生労働省へ提出し、口腔機能向上サービスの実施にあたって当該情報その他口腔衛生の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。
※原則3カ月以内、月2回を限度。