「ケアマネは公正中立の立場である」
と言われています。
(公正中立)
指定居宅介護支援事業者は、指定居宅介護支援の提供に当たっては、利用者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立って、利用者に提供される指定居宅サービス等が特定の種類又は特定の居宅サービス事業者に不当に偏することのないよう、公正中立に行われなければならない。
公正中立って聞こえのいい言葉ですが、ちょっと待ってください!
公正中立の立場で、果たして居宅介護支援事業を成り立たせることができるというのでしょうか?
居宅介護支援事業の収支について
ケアマネの事業収支は-1.4%と、他の介護サービスと比べ群を抜いて悪いです。
なんてったって、赤字ですからね!
では次に、ケアマネの収入の内訳をみていきましょう。
ケアマネは担当ケース1件につき、月約10,000円~13,000円といったところです。
35件までケースを持つことができますので、ざっくりと見積もりますと月約40万円の収入が見込めます。
月40万円です…
ここから、社会保険料、税金、その他固定費、雑費等が支出として発生しますので、正直言って、居宅介護支援事業だけで事業として成立させることはかなり困難です。
居宅介護支援事業を成立させるには
居宅介護支援事業を成立させるためには、デイサービスやヘルパーなどの介護サービスを併設して、そっちの事業で採算をとれるようにしなければなりません。
デイサービスやヘルパーの事業を成立させるためには、集客が必要です。
安定した数の利用者を抱えないことには、事業が成り立ちませんからね。
さて、ではデイサービスやヘルパーの事業に集客をするために、ケアマネはどうすればよいのでしょう?
簡単ですね
ケアマネが担当しているケースの方に、自社のデイサービスやヘルパーを利用してもらえばよいのです。
自社サービスを担当ケースの人に利用してもらうことで、デイサービスやヘルパーの事業経営を安定させ、居宅介護支援事業のマイナス分を補ってもらうことができます。
当然の市場原理ですね。
ケアマネジメントの矛盾点
ケアマネが、自身の担当ケースに自社のサービスを利用させることで、事業経営が安定する、と述べました。
しかし、これって公正中立な立場といえるのでしょうか?
答えは「ノー」です。
公正中立な立場であるはずのケアマネが、自社サービスをひいきしてるわけですから。
利用するサービスが、特定の居宅サービス事業者に偏ってしまいますからね。
でも、自社サービスを紹介して利用者を増やさないと、事業全体が倒産してしまいます。
公正中立を貫き、自社サービスも自社以外のサービスも平等に利用したとしても、その結果事業が倒産してしまっては、ケアマネジメントすらできなくなってしまうのです。
それでは本末転倒です。
自社の利益を追求する行為は、当然であるといえます。
このように、ケアマネが公正中立な立場をとっていたらケアマネジメントが成り立たなくなってしまうというのが現在の介護保険制度であります。
矛盾ですよね。
この矛盾を解決しない限り、真のケアマネジメントなんて絵に描いた餅にしかならないことは明白であるといえます。