介護・福祉情報室

えっ?デイサービスで新型コロナウイルスのワクチン接種!?

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2021年4月5日。年度初めの忙しい時期に、厚労省がどさくさに紛れてちょっと訳のわからない通達を出していたので、この記事でシェアしたいと思います。

訳のわからない通達とはコレです。

介護保険最新情報Vol.963 新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第20報)

この通達、デイサービスで新型コロナウイルスのワクチン接種を実施する場合のQ&Aなのですが…

takuma
takuma

あのぉ、そもそもうちのデイ、「ワクチン接種実施します!」なんて手を挙げた覚えないんですけど…

前提からしておかしなこの通達のさらにおかしなところを、わたしtakumaの主観たっぷりで解説していきたいと思います。

 

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・介護支援専門員)。

デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。

このサイト「生活相談員ラボ」では、「現役の強みを生かした、現場感覚のある情報発信」をコンセプトに、生活相談員をはじめたばかりの人やこれから生活相談員になる人の役に立つ記事を書いています。

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takuma
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デイでワクチン接種“してもいいよ”と言う厚労省

この通達でデイサービスに関する内容をかんたんにまとめると、

「デイサービスの事業所内でコロナウイルスワクチン接種をしてもいいですよ」

「デイサービスの送迎中に、利用者をコロナウイルスワクチン接種会場へ送り迎えしてもいいですよ」

ということです。

要は、厚労省がデイサービスに、高齢者の新型コロナウイルスワクチン接種の協力を求めている、というわけですね。

「お願い」ではなくあくまで上から目線

まず、この通達を読んで思ったのは、「厚労省、どんだけ上から目線なんだ」ってことです。

「~して差し支えない」

「行うことができる」

など、言葉の端々に上から目線を感じるのは、わたしだけではないはずです。

厚労省は、あたかもデイサービスがやるべきものとして書いていますが、そもそも前提として、これって本来デイサービスが提供すべきサービスじゃないんですよ。

あくまで、厚労省はデイサービスに高齢者のワクチン接種の協力を、“お願い”しているという立ち位置なんです。

であれば、

「~して差し支えない」

「行うことができる」

ではなく

「ご協力ください」

「お願いいたします」

という言葉が適切です。

厚労省は、ものの頼み方というものを知りません。

協力してもデイサービスは無報酬

もしデイサービスでワクチン接種の協力をする場合、通常の業務に加えてワクチン接種の業務を行わなければなりません。

ワクチン接種のための準備や介助など、職員にとっては負担が増えるわけです。

であれば、その負担に見合った分を「ワクチン介助加算」のような形で評価されてもいいはずです。

にもかかわらず厚労省は、あろうことか通常の介護報酬の範囲内でやらせようとしているんです。

要は、ただ働きです。

無報酬でデイサービスに協力を求めているわけです。

挙句の果てには、通常通りの介護報酬を算定して“差し支えない”という言い草です。

厚労省は、デイサービスを何だと思ってるのでしょう。

あきれてものも言えません。

 

もちろん、高齢者は重症化のリスクが高いため、早急なワクチン接種が必要です。

介護従事者のワクチン優先順位が低い

さらにひどいのは、ワクチン接種の協力を求めているにもかかわらず、当のデイサービス職員のワクチン接種の優先順位は低いという点です。

新型コロナウイルスワクチン接種の優先順位は以下の通りです。

(1) 医療従事者等

(2) 高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた人)

(3) 高齢者以外で基礎疾患を有する人や高齢者施設等で従事されている人

(4) それ以外の人

予防接種を実施する医療従事者は、当然自分たちのワクチン接種を終えています。

しかし、われわれ介護従事者の優先順位は高齢者よりも低いため、ワクチン接種を協力するにもかかわらず、自身はワクチンを打てないわけです。

どこまで自己犠牲を強いられなければならないのでしょうか。

 

このコロナウイルスワクチンを巡る一連の流れが踏み絵となり、厚労省がわれわれ介護従事者をどのように見ているのかがわかったような気がします。