仕事柄、他の介護施設へ顔を出すことが多いです。
そのときに向かえてくれるのが、明るいあいさつで笑顔いっぱいの職員…というわけではなく、玄関に張り付けてある様々な案内のポスターです。
それぞれの施設に貼ってある手作りポスターは、良くも悪くもその施設の考え方が表れます。
ここでは、どんなポスターがその施設にとってマイナスイメージとなってしまうのかということについて書いていきたいと思います。
ありがちなポスター
“土足厳禁” “カゼの人は面会禁止”
こんなポスターを見かけます。
どうですか?
これは、わたしが実際に訪問した施設に掲示されていたポスターの文面です。
わたしはこれを見て、「ずいぶん上から目線の施設だな」と感じました。
そして中に入ると、案の定職員にあいさつや笑顔がない、暗い施設だったのです。
ネガティブな言葉は相手に伝わらない
本来ポスターは、それを通して相手に何かを伝えるために作るものです。
そのためには、相手が受け取って嬉しい言葉にすべきです。
作成者の都合の押しつけは、相手に受け取ってもらえません。
ポスターからの情報を受け取る側から考えてみれば、“厳禁”や“禁止”という言葉を受け取っても、なにも嬉しくないわけです。
それどころか、上から目線というネガティブなイメージすら与えてしまい、かえって逆効果となってしまいます。
その施設のケアの体質がわかる
ネガティブ表現のポスターは、その組織の体質を表していると言えます。
たとえ一職員の判断でそのポスターが作成されていたとしても、その裏には管理者がいるわけです。
にもかかわらず否定・禁止のポスターを掲示しているということは、管理者もそれに気づかず指摘せず放置しているということになります。
このように、お客様に対して高圧的な案内しかできない施設は、スタッフの接遇も高圧的である可能性が高いです。
つまり、普段のケアのときも利用者に対して上から目線で接している可能性が高いです。
「客は来て当たり前。うちの施設に迷惑のないように過ごしてくれよ」
「利用者はいて当たり前。介護されてありがたいと思え」
という無意識のメッセージが、ポスターひとつから見て取ることができます。
普段考えていることが言葉になる
ポスターを作る際には、作成者の気持ちが無意識に反映されます。
これは、ポスターの作成にとどまらず、日常のケアの場面や接遇など随所に反映されます。
人は急に行動をよくすることはできません。
普段から考えていること、思ってることなど、マインドが行動に反映するからです。
だから、今日だけ行動をよくしよう思っても無理なのです。
では、どうしたらいいのか?
普段からお客様を大切にする心を持つことです。
野球の野村克也監督はこう言います。
「心が変われば態度が変わる。 態度が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。 習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。 運命が変われば人生が変わる。」
このように、まず何事も心が大切なのです。
その人が普段考えていることが言葉となります。
だから、まずは心を変えること。
どんな小手先の言葉を使ったとしても、気持ちが入っていなければきっと相手には伝わらないのでしょう。
要は日々“自己研鑚”していかなければ、結果的によい施設は作れないということなのです。
たかがポスターと侮るなかれ。
こういった枝葉の部分ですら、その施設の良し悪しを表してしまうものなのです。