「将来介護が必要になった場合に、自宅で過ごしたいですか?それとも施設で過ごしたいですか?」
と聞かれたら、どう答えますか?
今回の記事では、この「在宅か施設か?」という問いについて、掘り下げてみたいと思います。
介護保険の考え方
介護保険法第2条では、
『被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。』
と明記されています。
つまり、介護保険では
「居宅での生活が第一ですよ~」
と言っています。
「どうしても居宅での生活が難しい場合には、施設への入所もできますよ~」
というように、自宅で過ごせない場合の受け皿として、施設が用意されているということですね。
それを裏付けるデータとして、厚生労働省の「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」という調査によりますと、介護が必要になった場合の介護の希望として
「自宅での生活を望む」という人が70%を超えている
という数字が示されています。
施設入所を希望している人もいる
一方で、同調査によりますと
「施設や医療機関で介護を受けたい」という人も、20%くらいいるという数字を読み取ることもできます。
少数ではありますが、施設入所を望んでいる人もいるということです。
しかし、こうした20%の意見があるにもかかわらず、介護保険法では自宅での暮らしを推し進めています。
これは、自宅偏重の価値観の押し付けではないでしょうか。
これでは、「施設で暮らしたい」という人の意見は切り捨てられてしまいます。
「“施設で暮らしたい”という気持ちを持たずに、自宅で暮らしなさい」
という価値観の押しつけとなってはいないでしょうか。
カネが無いなら無いと言え!
施設を建てたり、維持していくためにはお金がかかります。
つまり国としては、国民に施設ではなく在宅で暮らしてもらった方が、安く済むわけです。
ですから、できるだけ施設は少なくして、自宅で暮らしてほしいと考えます。
可能な限り、その居宅において日常生活を営んでほしいのです。
そのほうが、安上がりだから。
「だったら、そう言えばいいじゃないですか!」
国にお金がないことは事実です。
ならそれをもっとオープンに伝えたほうが、国民の理解を得られると思うんですよね。
それを、
「みんな施設よりも自宅で生活したいって言ってるから…」
なんて言い訳がましいこと言って、ホンネを伝えようとしないから、不信感を与えてしまうのだと思います。
もう、いっそのこと国は
「ウチにはお金ないから、みんな施設入らないで自宅で暮らして!」
って言ってみたらどうでしょう 。
意外と好感度が上がるかもしれません (笑)
自宅か施設かってそんなに重要?
そもそも、自宅か施設かの2択っていうこと自体、ナンセンスではないでしょうか。
確かに日本人、特に高齢者にとって自宅は
「長年住み暮らした故郷である」
という思い入れが強いのかもしれません。
「苦労して働いて、やっとの思いで建てた我が家。
子どもを産み育て、その子どもも今は成長して大きくなり、家を出、今は連れ合いと悠々自適に余生を送っている。
家族の思い出の詰まったこの家で、これからも暮らし続けたい。」
というように、自宅に対しての思い入れが強い人も多いのだと思います。
しかし、本当に大切なものは、自宅か施設かといったどこに住んでいるかではなく
「幸せを感じて生きているか」
ではないでしょうか。
施設で暮らしていたって、幸せな人はいます。逆に、自宅で生活していたって、不幸せな人だっています。
どこに住んでいたとしても、その人が幸せであればそれでいいんじゃないでしょうか。
幸せであれば、そこが自宅であっても施設であっても、どっちだっていいと思うはずです。
まとめ
・「施設よりも自宅」という価値観の押しつけは、よくないのではないか
・「自宅か施設かという考え方」はナンセンスではないか
・「どこで暮らすか」より、「幸せに暮らしているか」が重要ではないか